若者増える?年6万円「ゴルフのサブスク」の勝算 アフターコロナも見据えたサービスの中身

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――サブスクのプレー枠ですので、1組4人全員が正会員でないと回れませんか。

森田:基本はそうです。できればいつも一緒に回るような人が正会員になるほうがいいのですが、1人予約もできるので、正会員同士がそこで友人になって「次も一緒に回ろう」ということも多いようです。

また、正会員がまだ会員になっていない方を同伴するのも可能で、準会員(トライアルメンバー)として、プレー費でいえば平日9000円、土日祝日1万3500円でプレーできます。そこで体験してもらおうと思っています。

――対象のゴルフ場はどうやって増やしていきますか。

森田:各県のゴルフ場支配人会でプレゼンテーションをするなど、基本的にはわれわれからアプローチしています。正会員からの紹介もあります。

――コロナ禍でゴルフ場も通常予約が増えてきています。サブスクのプレー枠に回らないこともあるのでは?

森田:いっぱいのときもありますが、ゴルフ場側もコロナ禍は一時的なものと考えており、(長い目で見て)ゴルフ場も若い人にプレーしてもらいたい。ゴルフ場が単体でサブスクを始めたり、地域のゴルフ場で始めたりという動きもあるようです。

――若者に限らないのですが、初心者が増えてきてゴルフ場でのプレーやマナーに問題が出ていることもよく耳にします。

森田:エチケットやマナーについては、仲間の中で注意しあっているようです。今のところ、正会員の満足度は高く、その理由はやはり価格ですので、プレーのスピードや、例えばピッチマークを直すなど「安い料金で使わせてもらっているから、ゴルフ場に迷惑がかからないようにしよう」という意識が正会員に出てきています。

ゴルフ場にも利用者にもメリットはある

こうしたサブスクが、ゴルフ業界をいい方向に導いてくれる可能性がありそうだ。ゴルフ場にとっても、今はコロナ禍で見直されているが、かつての日常が戻ったときに同じような盛況でいられるかはわからない。そんなときに「余っている」プレー枠をサブスクで埋めていくことができるようにもなる。

プレーする側にとっては、平日1ラウンド7000円とすれば、年間9ラウンドすれば「元」は取れる。月イチゴルファーで、平日プレーが可能なら大きなプラスだ。ただ、まだ14コース、住んでいる場所との距離の問題もあり、いろいろなゴルフ場で腕を試してみたい人にとっては物足りないと感じるかもしれない。

ちなみに「TeeRex」は、ゴルフのティー(tee)と、ラテン語の王を意味する「Rex」の造語という。恐竜ティラノサウルスのT-レックスをキャラクターに使っている。

ゴルフのラウンドのサブスクを提供する企業や団体は、今後増えていく可能性がある。プレーする際の主流の1つになるかもしれない。そのためには、ゴルフ場が持っている、限られた「枠」をどう活用するか。メンバーや、大きな収入になっている通常のビジターとの兼ね合いもある。

全国に約2000コースあるので、1コース2組(アウトイン各1組)をサブスク利用にできたら1日4000組、1万6000人に提供できる可能性もある。提供するゴルフ場の広がりが必要になってくる。

いずれにしろ、プレーする側に選択肢が増えるのは、ゴルフを活性化することにつながるのは確かだと言える。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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