"無敵"GAFAが「中国テックに負ける」最悪シナリオ 「AIという主戦場」でGAFA+Xが立たされた窮地

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エアビーアンドビーのブライアン・チェスキーCEOは、メタバースがリアル空間をのみ込むことはない、リアル空間で新しく、より生活が豊かになるテックを生み出した企業が勝者になるだろうと言っています。僕も賛同しますね。

GAFAは、リアル空間すべてにコミットしようとしています。アップルウォッチ、スマートスピーカー、自動運転のアップルカーなどもあります。なんとかしてリアル空間という主戦場に食い込もうとしているわけです。

本書の中で面白い指摘は、ネットフリックスは、いい線まで来ているけれど、リアル空間への食い込みが足りないから、スピーカーメーカーのソノスと、音楽配信のスポティファイを買収しろと言っているところです。「いかに家庭の中に入るか」が今後の課題ということですね。

アマゾンは、スマートスピーカーによって先んじてリアルに入り込みました。ただ、タブレットやスマホには参入したものの、失敗し、垂直統合ができていません。

一方、アップルは、ハードウェアもアプリのストアも持ち、チップも作っていて、垂直統合がしっかりできています。ただ、アップルユーザーにとっては平和で幸せな世界なのですが、アップル圏外の人々にはまったくリーチできていないという欠点があります。

GAFAも完璧ではないわけです。まだまだ始まったばかりという状況です。

プライバシー規制はテックの発展を阻害する

テック企業の発展には、課題もあります。プライバシー規制です。

サービスの利用者を単なる商材として扱い、プライバシーデータを商品として一方的に外販されることには、強い批判が起きています。

ただ、プライバシーと言っても、アマゾンのレコメンドなどを批判する人はあまりいません。自分にメリットがあるからです。同様に、ヘルスの場合も、自分にフィードバックがあれば、あまり抵抗がないかもしれません。

アップルは、プライバシーに配慮してデータは収集しないと宣言しています。ただ、それで勝ち続けられるのかどうかはわかりません。

僕は、プライバシー規制をやりすぎると、アメリカのテック企業の凋落を招く可能性があると思っています。AIは、データがなければ進化しません。

自然言語を処理して文章を作成する「GPT3」というプロジェクトがあります。AIには膨大なデータを読み込ませますが、「GPT3」の場合、その対象データがインターネット全体なのです。

非常に高度で複雑なAIで、例えば、「ハリーポッター調の文章で、ハードボイルドミステリーを書いて」と指示すると、そのようなものが書けてしまうというものです。

データが大きければ大きいほどいいのが、AIです。そして、AIは、農業、電気、エンジン、スマホなどに匹敵する汎用技術です。今後、強大な産業革命の基盤となる技術なのは間違いありません。データをこれ以上集めてはいけないとなると、かなり厳しいでしょう。

ヨーロッパにも、GDPR(一般データ保護規則)というデータ規制法があります。日本よりもデータ収集に対して厳しく、後ろ向きです。

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