20~30代が過半数「黒いCX-5」が若者に売れる理由 価格と内容のバランスを見極める若者の審美眼
ここで思い出すのが、やはり若い人に人気があると聞いた「ロードスター」だ。2021年は、購入者のうち30代未満のユーザーが15%から30%へと倍増したという。そのためロードスター全体の購入平均年齢が5歳も若返って、46歳になったというのだ。
マツダの国内営業本部は「990Sの記事を見て、興味を抱いてディーラーに足を向けた方が多かったようです。ただし、若い方が結果的に購入するのは、装備のより充実したSパッケージになっています」と説明する。
ちなみに、若者が興味を持つきっかけとなった「990S」とは、秋にファンイベントでその存在を知られるようになった新しいグレードだ。
ロードスターの楽しさの根源となる「軽量さ」を磨き込んでいる。走るための装備は充実しているが、カーナビなどの快適装備は省略。“ロードスターの本質に迫るモデル”として、マニアックなユーザーから注目を集めている。
「本質を見抜く力」を持つ今の若者たち
若い世代に支持されているのは、マツダ車だけではない。2021年の夏に導入されたホンダの新型「シビック」も、「若い世代からしっかりと支持を得ている」とホンダは説明する。
新世代のシビックは若い世代をターゲットとしながらも、319万円からと価格は少々高めだ。「若者向けに、そんな高くしても大丈夫なのか?」と、シビック開発者に聞けば「今の若い世代は本質を見抜く力がある。ちゃんとしたものであれば、値段は関係ない」と言う。
たしかに、新しいシビックは楽しい走りがあり、内外装のデザインも洗練されていた。そうしたデキのよさを若者は理解したうえで300万円台の高価なクルマを買うのだ。
とはいえ、昭和の時代にあった「一番高いものが一番いいから、一番高いものを買う」というスタイルではない。CX-5やロードスターでいえば、もっと装備の充実した高価なグレードもあるけれど、若い世代が購入しているのは、価格と内容のバランスのいいグレードだ。
若い世代は品質や性能だけでなく、価格面でもしっかりと“良い/悪い”を判断できるのだろう。目の肥えた顧客ということだ。特に今は、ネットという集合知を利用することもできる。それが今どきの若い世代なのではないだろうか。売るほうは大変だ。
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