御嶽山への自衛隊派遣、口を挟むとサヨク? 必要なのは事実に基づく冷静な議論

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FFRSの実用飛行限度が高度2500メートルであることから使用されなかった可能性もあるが、山頂の偵察は不可能でも実用高度までの偵察は可能だったはずだ。すべての被災者が山頂部にいたわけでもないだろう。7合目あたりまで基地局を展開して運用すればある程度の情報収集には役立っただろう。搭載燃料を減らせば、もう少し高度を稼げる可能性もある。

今後このようなケースに備えて実用飛行限度が高いUAVの開発や調達を検討するべきだろう。米軍や欧米のヘリメーカーは有人ヘリを無人で運用する技術を開発中で、このような技術も今回のようなケースでは役に立つ。

また米軍の運用しているプレデターのような中高度での飛行が可能な固定翼UAVでもあれば、容易に現地の偵察をできたが、陸海空自衛隊はこの手のUAVを一機も保有していない。人民解放軍ですらこのクラスのUAVを実用化し、輸出にも力を入れている。UAVの導入で自衛隊は中進国、途上国よりも大きく遅れている。

江川氏の疑問はまっとうである

一義的には今回のようなケースで救難に当たるのは消防や警察のレスキューチームだ。江川氏が疑問を持つのは不思議でもなんでもない。別に江川氏は自衛隊の活用は軍国主義だ、と非難していたわけでもない。先にも述べたが、このような形で自衛隊のあり方に疑問を呈しただけで、袋叩きにあうケースが増えれば言論はかなり窮屈になるだろう。また一種の言論封殺と言えなくもない。

もちろん、自衛隊のマンパワーやスキル、装備が有用となる可能性も大きいことは事実である。自衛隊がレスキュー隊よりも有用な場合には、自衛隊を活用し、警察や消防と役割分担すればいいだけの話だ。

自衛隊は常に正しいという「結論」、あるいは「願望」からすべてを演繹するべきではない。自衛隊の装備が常に有用とは限らない。噴火も含めて災害の現場は千差万別である。現地の状況によっては不要、あるいはかえって投入は危険という場合もあるだろう。

要は現場の状況と判断による。状況によっては有用と思われた装備が使えなかったり、逆に不要と思えた装備が使えたりする場合も少なくない。我々は現場の状況を詳細に知る立場はないのだ。だからすべてを知っているかのごとく、「自分の知識は絶対である」という前提で軽率に他人を攻撃すべきではない。知らないことを知っていると誤解することは「分析者」としての資質を欠いているということだ。もちろん、筆者自身、そのことを常に自戒している。

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