今どき流行らないが、やはり構造改革でしょう 宮内義彦・オリックス会長兼グループCEOに聞く

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──今、宮内会長が腐心している経営課題とは。

経営課題を数え出したら、きりがない。オリックスは世界的に見てもユニークな会社になった。似た会社は一つもない。これまで「業界何位みたいな会社にするのはやめよう。オリックスという会社しかない会社になろう」と努力して、そういう会社に随分となってきた。しかし、ちょうどそのときに、世界的な金融問題が発生した。すると今度は、マーケットから見て非常に判断しにくい会社になった。これは予期しなかったことだ。これをどうするか。

ほかには、今、中国をはじめ、いくつものビジネスで仕掛けている案件がある。すべてがうまくいくとは思わないが、どれかで芽が出てくるだろう。人材面では、金融分野でウォールストリートに負けない人材を育てようとしたが、金融危機で意味がなくなってきた。そういう人材を、どうシフトさせるかも課題だ。

あとは、老CEOがいつまで経営するのかという問題がある(笑)。

この点、わが社では非常に若い層が育ってきている。現場が動き出す力があれば、将来も大丈夫だろうと思っている。課題といっても、心配事より面白さのほうがちょっと増えてきているというのが現況だ。

国内に面白い事業が残っている

──欧米では財政危機や二番底懸念がくすぶっています。海外市場の成長機会をどう見ていますか。

ヨーロッパでは、幸いなことに近年、大きな事業をやっていなかった。ポーランドに小規模のリース会社、アイルランドに航空機リースの拠点があるだけだ。ほかの拠点は全部引き揚げてしまった。

一方、アメリカのオペレーションは、リーマンショック後は一貫して黒字を維持している。よく頑張ってくれており、さらに伸ばしたい。できれば、ノーアセットベースというか、サービスフィーやコミッションフィーで稼げるビジネスを、M&Aを駆使してやっていきたい。海外の重点エリアはアメリカとアジア、ということになる。

──先ほど心配事より面白さのほうが増えてきたという話でしたが、どんな事業ですか。

具体的にはまだ話せないが、国内に面白い事業が残っている。規模は大きくないが、これから芽を出しそうな事業がいくつかある。これらを大きく育てていく楽しみがある。

──オリックスの将来像は。

われわれは、営業資産ベースで6兆円足らずの金融グループでしかない。それが、工夫しながらも日本国内でビジネスチャンスを見つけられないとしたら、能力を疑われてしまう。個々には非常に小さな事業でもユニークな手法で深掘りをしていく。そんなポリシーを持っている。派手に「これがオリックスの大黒柱だ」などと言うことはしない。今、考えているのはその逆。言うなれば、小さな専門性を持つことだ。

(週刊東洋経済2010年9月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
週刊東洋経済編集部
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