でも、だからこそ、懸命に冷静になることです。逆にあなたの株を上げるチャンスにもなるかもしれません。
当の後輩の気持ちを想像してみましょうか。彼は男性で、「昇っていきたい生き物」なので、「オレ、下剋上しちゃった」ということがなんとも誇らしい気持ちと、指導係だった先輩が部下になるという事実に「どう扱ったらいいのか」「うまくいくのか」という戸惑いと、両方を持っているはずです。
後輩のタイプにもよると思いますが、年次を飛び越えて昇進したときって、内示されてからしばらくの間は、「よっしゃー!」と心で叫び続けていると思いますね。そして、この「よっしゃー!」な気持ちを、自分の中に収められるくらい、大人でデキる人ならば別ですが、「先輩を飛び越えちゃったよ、参ったなぁ」などと、相談に見せかけた「自慢臭」のするセリフを言いがちです
「お前が選ばれたんだから自信を持てよ」とか「すごいな、出世頭だねぇ」といった言葉をもらうと、まぁ、うれしそうな顔をすること! アホですねぇ。こういうことを言うと、実は周囲は、「すっごくはしゃいじゃってるよね……」と逆に冷ややかな気分になってしまうものなのですが、気分が高揚して自慢の加減がわからなくなってしまうのです。
そんな後輩の状況を想像できたら、どう立ち回るのが「得」か考えられるはずです。とにもかくにも、「会社も抜擢人事が好きよねぇ。まだまだなヤツだから心配だわ!」などと、悔し紛れに言ってはいけません。後輩を心配した発言とは取られず、「ああ、よほど悔しいのね」と思われるのがオチです。だから、逆に彼のいいところを具体的に探して、周囲に向かって褒めるように努力したほうが断然いい。
「柔軟な発想ができるし、機転が利くし、当然の人事だと思うわ」「営業先での交渉能力が高くて、何度も助けられたのよ」とか、懸命にさりげない笑顔を作りましょう。すると、周囲はあなたのことを「彼女は人間ができている」と感心して眺めるようになり、はしゃぐ後輩と対比した印象を持つようになると思います。
私が犯した、15年前のとんでもない失敗
私が若手の会社員だったとき、同期の女性が私より先に昇進したことがあります。若気の至りで、抜擢されるのは自分だと信じ込んでいたので、すっごく暴れましたよ~(笑)。「彼女と比べて何が足りないのかはっきりさせてくれ」と上司に言い募ってみたり、地方にいた彼女のことを「メジャーな人じゃない」とか言ってみたり。本当に時間が巻き戻せるなら、消し去ってしまいたい恥ずかしい過去です。みんながそんな私の扱いに困っている、ということは伝わってくるので、余計に腹立たしくなり、ただただすねるような態度を取ってしまって……。
すっかり社内での評判を落とし、15年くらい前のことなのに、今でも「彼女のこと嫌いなんでしょう?」「仲が悪いんですよね」なんて言われちゃうくらいネガティブな伝説になってしまったのです。年齢を重ねて振り返れば、若手の頃の昇進の順番なんて、なんてことない些細なことなんですけどね。どうしても冷静になれなかったわけです。苦い思い出です。
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