(第38回)【変わる人事編】厳しさを増す理系就活。そのサバイバル法

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●文系学生はバイトと遊び、理系学生は実験、演習で研究室住まい

 理系と文系の違いについて考えてみると、まず学問の性格が違う。文系は人文科学(心理学、教育学、文学など)と社会科学(経済学、法学、政治学など)に分かれ、その間に歴史や哲学があるが、いずれも人間や社会を対象としてするあいまいな学問だ。いくつもの解釈が成立してもいい。
 テレビに出演している経済評論家の景気や為替の予測に的外れのものは少なくないが、間違いを責められることはあまりない。社会科学では現象の予測も再現もできないのだ。こんなことは自然科学にはありえない。

 理系と文系の教授を比較してみると、文系教授は自分の講義がない日は大学に来ないことが多いが、理系教授は毎日来る。土日に研究室に来ている教授も多い。一般的に文系よりも責任感が強く、教育に熱心だ。論文執筆、海外出張、国内の学会、学生の指導と忙しい。

 文系と理系の学生も違う。文系学生の中には「4年間バイトをし、2年目に店長に抜擢された」とアピールする者もいる。バイトと遊びが文系の学生生活なのだ(もちろん例外もある)。理系学生は実験、演習、講義と忙しく、中には研究室に住み込んでいる学生もいる。理系研究室には調理器具、寝袋などの生活装備があるが、文系学生が大学に泊まることはありえない。

 かくしてまともに理系学部で勉強していたら、それだけで4年間、院に行く者なら6年間は過ぎてしまうはずだ。そして日本という国では、過去数十年間(たぶん戦争の前から)理系人材が不足していたから、そんな大学生活を送っていても就職先があった。
 ところが2008年9月のリーマンショック以降、理系就職も厳しくなった。2011年採用の状況は冒頭に紹介したとおりの惨憺たる状況だ。

●Webテスト(SPIテスト)で7割程度がはねられる

 研究室に行くと、さすがに理系学生も事態の深刻さに気づき、SPI本、就活本が机の上に並んでいる。「英語が苦手なので理系に進学した」という者もいるし、日経新聞を購読している学生は少ないだろうから、社会常識を身に付け、英語力をレベルアップするために1冊くらいはSPI本を読んだほうがいい。Webテスト対策として有効だ。

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