告発スクープ!生コン「価格吊り上げ」疑惑 中部の高速道路に加え、リニアでも発覚した
2000円の口銭を取っていたとは言わないまでも、「1000円もない。口銭はそんなに高くない」(酒井専務)と漏らす。だが、今まで6社ほどで分かち合ってきた販売店制度の商慣習からすれば、容認できまい。1社独占販売の窓口となることに加え、工事案件も大きいだけに、合計した口銭はこれまでになく多額だ。「暴利をむさぼっている」(排除された販売店)と言われても仕方ないが、「やっかみでそう言われても、何もやましいことはしていない」というのが、中部シー・アイ・アイの言い分である。
ある関係者は「現金払い」のからくりをこう明かす。独占契約することで、契約書を銀行に持ち込み、その信用(銀行保証)で無担保社債を発行し、資金を調達しているという。事実、中部シー・アイ・アイは今年2月だけでも、3本の無担保社債を発行している(合計2億円調達)。
すべては1社独占販売から始まった疑惑。しかし、すでに東海北陸自動車道拡幅工事は後半に入り、「今さら騒いでも、決まったことは何も変わらない」(ある販売店)と、あきらめの声も聞こえてくる。とはいえ、無視できない、新たな事実が発覚した。「リニア中央新幹線の工事に絡み、中部シー・アイ・アイが岐阜、長野、山梨各県の生コン組合と、機密保持契約を結ぼうとしている」(公取に告発した関係者)というのだ。
次なるターゲットはリニアか
にわかには信じられないが、本誌は岐阜、長野、山梨各県の生コン組合など関連業者と中部シー・アイ・アイが交わした、「機密保持及び取引基本契約書」を独自に入手した。基本契約書や覚書など、相手によりタイトルは違うものの、機密保持契約の内容はこうだ。
「東海旅客鉄道(JR東海)が計画しているリニア中央新幹線建設工事に伴う情報交換を行う際の機密保持等の条件、生コンクリートに関して中部シー・アイ・アイが総代理店として取引を行う基本的事項について契約を締結する」(一部省略および補足)。
つまり東海北陸自動車道で、飛騨、郡上の生コン組合と実質的に行った生コン価格吊り上げを、巨大プロジェクトのリニアでも計画していたとみられる。「これだけの大プロジェクトを1社でやることはない」(酒井専務)と否定したものの、契約書の存在自体は中部シー・アイ・アイも認めた。
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