告発スクープ!生コン「価格吊り上げ」疑惑 中部の高速道路に加え、リニアでも発覚した

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時系列で見ると、かなり以前からリニアで用意周到に動いていたのがわかる

時系列で一連の取引を並べると、リニア新幹線工事に絡む契約が、かなり前から用意周到に行われていた形跡がある。しかも生コン組合を訪問する際、JR東海との関係を信用させるためなのか、JR東海商事の社員を同道させ、1~2回は訪問、契約にこぎ着けていた。それでも一部の生コン組合は拒否、または途中解約した。

当時、こうしたうわさを聞きつけたJR東海グループのJR東海建設や名工建設は、中部シー・アイ・アイが加入している安全協力会などの会員資格を「喪失処分」とした。また大成建設の協力会メンバーでもあるが、「違法行為をしたわけでなく、反社会的勢力と関係もない。会員資格を剥奪する理由はない」(大成建設)とするゼネコンもある。

だが、リニア新幹線工事の発注元であるJR東海は、怒り心頭だ。

こうした契約の存在について「まったく知らなかった。初耳である」とし、「当社グループの社員が5年ほど前に同道したのは表敬のためで、その後具体的な話はしていない。中部シー・アイ・アイが(機密保持)契約のために当社グループの名前を利用したとすれば心外」(JR東海)と、不快感をあらわにする。

新幹線50周年の記念が…

JR東海は9月22日、メディア向けにリニアの体験乗車をさせたばかりだった

リニア新幹線工事の発注は工区ごとに行われるが、早ければ発注開始は今年度内ともされている。10月1日は東海道新幹線開業50周年の記念すべき日だが、こうしたビッグイベントを前に、機密保持契約の存在が明らかになったショックは大きい。今後は「資材価格については、工事発注者としてしっかり注視する」(JR東海)。決して元受けのゼネコン任せにはせず、発注元として積算根拠も含め、詳細なチェックが必要になる。場合によっては、JR東海主導で、現地生コンプラントの建設もありうる。

確かに独禁法22条は「一定の組合の行為」について法律の規定を適用しないとする。一方で、「ただし(省略)一定の分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りではない」、ともある。

公取の幹部や公取OBの弁護士は、中部シー・アイ・アイのケースを「違法行為とするには難しい」としている。ならば、何が不当なのか。不当な対価とは何か。今回の事例を契機に、この法律自体の存在意義も問われている。

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