向こう5年は安泰?急回復するセメント業界 建設特需の恩恵をいち早く享受

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太平洋セメントの大船渡工場は高水準の操業が続いている

アベノミクスの第2の矢である復興・防災関連の公共事業拡大。そして、消費増税前の駆け込みといえるビルやマンション建設の急増。今年度に入り、建設業界は2000年代初頭のITバブル以来の特需に沸いている。

ただ、2013年度上半期(4~9月)の業績を見ると、大手ゼネコン各社は低空飛行のまま。受注状況は改善しているものの、過去に受注した低採算案件の完工や、労務費や資材高などコストが想定以上に負担増となっているためだ。

そんな中、建設業界に先行してアベノミクスの恩恵を享受しているのがセメント業界だ。

国内シェア35%の最大手、太平洋セメントは11月12日、2013年度の営業利益が期初予想から33%増の640億円に達すると見通しを上方修正した。想定を超える出荷で生産効率がさらに改善し、震災前の2010年度営業利益164億円と比べて、実に利益水準は4倍に急伸しそうだ。

需要増だけではない、好業績のワケ

セメント協会が発表する地区別セメント販売数量は、業界の活況ぶりが全国規模で広がっていることを物語る。たとえば、2013年度上半期の九州地区は前年同期比で16.1%増を記録。復興需要がある東北地区の同25.6%に次ぐ増加率を示した。九州の特需は昨年の台風被害の復旧工事が寄与しているからだ。

また、大型公共工事が牽引する北海道が同9.3%、中国が同5.9%とそれぞれ高い伸びを示した。首都圏や近畿は同6%増で、大都市圏は大地震に備えたビル建て替えや消費増税前のマンションの新築ラッシュなど民需の盛り上がりを反映した格好だ。

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