坂之上:あぁ。
中貝:私ね、「また市民に被害がでたら、私たちはどうしたらいいんですか」っていう彼の言葉が、ストーンと腹に落ちたんですよね。
坂之上:はい。
中貝:それからなんども話し合って、最後には、これ以上、同じ被害を出してはいけない、そう決めて、工事を続けることにしました。
だけどこれだけたくさん工事を続けていたら、いずればれるだろう、とは思っていました。
坂之上:ばれるのを覚悟で?
中貝:はい。「その時は僕が責任を取る」と言いました。
意を決して行った工事が新聞のトップに
坂之上:そして、実際に、新聞のトップニュースになりましたね。その時は市民からも、かなりの非難の声があがったと伺いました。
中貝:ええ。新聞に、「補助金の不正受給」と書かれまして。その時は、「市長辞めろ」みたいな声がワーッと来ました。
坂之上:そもそもどうして、こういうことになってしまったのか、具体的に教えて頂けますか?
中貝:実は、川は6月から10月まで工事してはいけないという国のルールになっています。ご存知でしたか?
坂之上:そうなんですか?
中貝:洪水や台風、あるいは梅雨前線でけっこう川が増水するので、工事をしていると、そこが弱点になってしまうんです。それで11月になって、いよいよ工事を始めようとしたら、この年はものすごい大雪で、工事が全くできないような状況になってしまいました。
坂之上:そういう天候が続いたわけですね。
中貝:そう。台風の被害がすごすぎて、川以外にも、道路が崩れてる、山も崩れてる、下水の処理場はやられてるということで、工事をやれる業者は、そこにかかりきりになっていた。
まぁ、そんなこんなが重なって、川の工事を期間内に終わらせることができなかった。そういう感じでした。
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