「まずは起業、ダメだったら就職すればいい」 仲間づくり、メンターづくりで道は拓ける

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塩野:それはベンチャーキャピタルのほうで採用を始めたということですか?

小林:そうなんですよ。ドットコムバブル崩壊後の立て直しに向けて、コンサルタントやビジネススクールを出た若手を採用しようということになり、そこで採用してもらえた3人のうちの1人でした。

僕はその前からヘッドハンターに「ベンチャーキャピタルの求人があれば頼む」と言っていたんですね。でもビジネススクール出身じゃないとダメだとか、英語ネイティブじゃないとダメだと言われて足切り状態だったんです。でもたまたま、僕の英語力でもなんとかなりました。

だけど当時は海外の会社とのジョイントベンチャーだったので、ひとり駐在している人がいて、いきなり初めての挨拶が英語。会議も初めから英語。「こんにちは」くらいしか言えなかった(笑)。

塩野:グロービス・キャピタル・パートナーズが、まだエイパックス・グロービス・パートナーズという名前だった時代ですね。それで晴れてキャピタリストになって、最初はどういう仕事をしましたか。

小林:いきなり倒産処理でした。ドットコムバブル崩壊直後ということもあって、経営方針が割れて揉めている案件が多かった。僕はそれを手伝うという感じでした。

そうしたらあるとき株主総会で解散の動議が起きてしまった。その後、連絡がないなとと思ってその会社に行ったら、会社の名前が変わっていて、違う会社になってる。後日、探偵を使って調べたら、印鑑を奪った奴がいて、規約を書き換えていたんです。

塩野:それ、窃盗じゃないですか。犯罪ですよ。まさに「ベンチャー事件簿」ですね(笑)。

小林:ああなると本当に悲惨ですよ。破産するとお金がなくなるとか、それ以前の問題で、人格が変わってくる。個人で金を借りると人生がボロボロになるとつくづく学びました。

塩野:追いつめられるとあちこちから同時に借りたりして、本人もどれくらい借りたか把握できていなかったりしますからね。でもまあ、最初にいいものを見ましたね。最近の人はそういう修羅場を知らないでしょうから。

投資規模によって求められるスキルが変わる

小林:そうですね。それで2年めに自分で案件を担当するようになりました。一件目がいまワークスアプリケーションズの子会社になっているアリエル・ネットワークという会社。2件めが旧インタースコープ、現マクロミルです。
アリエル・ネットワークはことごとく失敗して、3億円の投資が3分の1くらいになってしまった。2件めはエグジットしてトータルで投資額が2〜3倍になり、それで2004年にパートナーに昇格しました。

塩野:早いですね。

小林:グロービスのなかで最年少記録ですね。

塩野:最近、ベンチャーキャピタリストになりたいという人が増えています。90年代に比べれば、情報もわんさかあってイメージもしやすいと思いますが、志望者に対して「これはやっとけ」みたいな助言はありますか。

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