塩野:なるほど。すごく行動力のある意識の高い大学生でしたね。
小林:そうですね、いま思えば。もっとも東京大学という恵まれた環境だったから、自分の学科と全然関係ないサークルで勉強できた。
塩野:学科はどちらですか。
小林:船舶海洋科です。勉強しなくてもいい……というと怒られますが、さぼってもなんとかなる学科(笑)。
でも就職するとき、日本にはまだキャピタリストがいなかったので、じゃあプロフェッショナルの仕事をしようと思い、アーサー・D・リトル(ADL)という経営コンサルティング会社に入りました。ADLに入ったのは、梅田望夫さんという『ウェブ進化論』(ちくま新書)などの本を書いている方が在籍していたから。受けてみたら特に思考力調査のような試験もなく、面接で自分の考えを語ったら受かりました。
塩野:1990年代後半に新卒でコンサルに入るのはまだ珍しかったですね。
小林:それで入社3年めに、運良くベンチャーインキュベーションを手がけることになりました。インキュベーションといってもクライアントから受託した1年間限定の仕事でしたけど、それが「@コスメ」で有名な現在のアイスタイルです。あるエンジェル投資家がアイスタイルに「ほら、これでどうじゃい」と小切手で1億円渡した場面にも居合わせましたよ。
「ベンチャーキャピタル」に入社
小林:それでますますベンチャーキャピタルに興味を持ったのですが、それは1年限定の仕事だったし、自分はコンサルとしての適性もあまり高くなかったと思っていた。そんなときたまたまグロービス・キャピタル・パートナーズのベンチャーセミナーに出たら、グロービスの人に「うち、いま人を募集してるよ」と言われて、試験を受けたら受かってしまった。
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