ドイツから見た「フクシマ後の日本」とは?

SNSで日本は「多様な公共性」を創造できるか

同教授が重要視するのがツイッターなどの「つながる」技術だ。社会運動やボランティアにまつわる人間関係に大きな影響を及ぼした。

会議の運営を行ったシェーファー・ファビアン教授(右・エアランゲン-ニュルンベルク大学)と、ロート・マルティン教授(ライデン大学)、。

「民主主義の形には人々の関係性で生じる公共性や、ジャーナリズムのあり方が影響する。ネットは新しい人間関係やジャーナリズムを作ってきたが、3.11以降、これらの技術が特に大きく働いた。既存の民主主義がどう変わっていくのか、そこに問題意識がある」(同教授)。

会議では「3.11」以降の日本について、理論やポップカルチャー、デジタルメディアなどの視点から16人がプレゼンテーションを行った。会場内で笑いが起こったのが、ジャーナリスト、メディア・アクティビストなどの顔をもつ津田大介さんのプレゼンだ。

「ネット民意」による変革への期待と限界

テーマは「日本のデジタルメディアと政治」だったが、「時代遅れの法律のせいで、『選挙カーでは政策を語れず、名前を連呼するだけ』」といった選挙事情を紹介。会場内には日本をよく知る外国人研究者も多く、爆笑を誘っていた。

津田さんは、2013年、ようやく日本でもネットによる選挙活動が解禁になったなどの最新情報を交え日本の現状を報告。「若者の投票率はそれほど伸びなかったが、候補者のスピーチ動画を閲覧する人が多く、『「有権者の質をかえた』」と評価した。

さらに2014年6月の「東京都議会のセクハラやじ問題」はツイッターによって注目されたことなど、ネットが政治を動かした例も紹介。しかし、依然、選挙制度や市民の政治参加の意識に問題があり、SNSの動員力を駆使して、市民側からの「アジェンダ・セッティング」と、既存メディアにプレッシャーを与えていくことが重要だとした。

津田さんのプレゼンから伝わってくるのは、ネットによる、活発で多様な言論への期待だが、参加者からは、「ネット上には、倫理的問題発言も多い」という指摘も出た。津田さんは「アクセスが増えることを理由に、問題発言を排除しないサイトがあるが、プロバイダーが倫理観に基づき、問題発言をフィルタリングするのがよいと思う」と応じた。

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