世界最大規模の上場、アリババ隆盛は続くか 海外展開を積極化、新たな“生態系”の構築も

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ネット集客で主流のスマートフォンメッセンジャーアプリにも触手を伸ばし、今年3月には米タンゴへ出資した。また、アマゾンが電子プラットフォーム「キンドル」に注力するのと同様、デジタルコンテンツも拡充。携帯ブラウザ(閲覧ソフト)大手の中国UCウェブを今年6月に完全子会社化し、7月にはスマホゲームの米カバムにも資金を投じている。

上場後の海外展開

ほかにも、中国の大手自動車メーカーである上海汽車とスマートカー分野で提携。ネットだけでなく、リアルの領域に踏み出す、グーグルへの対抗意識も透けて見える。

こうした動きについて富士通総研のジン・ジャンミン主席研究員は「ネットに関する事業の垣根はどんどん低くなっており、アリババはあらゆる消費者と接点を作るために、(数々の出資を通じて)“生態系”を作ろうとしている」と分析する。

アリババが抱えるもう一つの課題が海外市場の開拓だ。14年度の海外売上高比率は1割弱と低い。実際に9月15日にはマー氏が投資家向け説明会を前に、「上場後はヨーロッパや米国でのビジネスを拡大したい」と語ったことが海外で報じられている。

米国株に詳しい大手証券関係者は、「米国でアリババ株は機関投資家に人気だが、個人ユーザーにとって、アリババという会社の知名度は高くない」と明かす。史上空前規模の上場で時の人となるマー氏は、巨艦をどこへ導くのか。その舵取りに世界が注目している。

「週刊東洋経済」2014年9月27日号<9月22日発売>掲載の「核心リポート03」に一部加筆)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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