日本電産が強気のM&A、米国事業買収の内実
日本電産は8月18日、米電機大手エマソン・エレクトリックのモーター事業部門(EMC)を買収すると発表した。買収額は500億~600億円程度とみられる。今9月末までに買収を完了。「買収を機にあらゆる部門のモーターで世界トップを目指す」。日本電産の永守重信社長は、同日開いた会見の席上で力強くそう語った。
同社はHDD用精密小型モーターで世界シェア75%と圧倒的で、車載用など中型モーターも急拡大中。ただ大型モーターは手掛けておらず、中型の家電用モーターでも米国展開が遅れていた。
一方のEMCは、米家電大手ワールプールを顧客に持ち、家電用でシェアが高い。水道システム用などの大型モーターも展開する。日本電産が手薄だった英国やインドに工場を構え、米国には研究開発拠点もある。日本電産にとって今回の買収は、品ぞろえ拡充や海外ネットワークの強化に結び付くというわけだ。
日本電産は目下絶好調。2011年3月期は主力のHDD用モーターが牽引し、売上高6600億円(前期比12%増)、純益630億円(同21%増)と、過去最高益を更新する見通しだ。手元資金も6月末で1273億円と豊富。そこに円高でドル建ての買収余力が高まったため、今回のM&Aに踏み切る。
他に50件の買収候補
過去に29件もの買収案件を手掛け、それをテコに成長路線をひた走ってきた日本電産だが、今回の買収は従来とは大きく違う意味がある。