グルメサイト戦争! 口コミパワーで食べログが首位奪取、王座陥落のぐるなび
こうした流れの中で、飲食店情報も、飲食店側が発信するぐるなび方式から、利用者が発信する食べログ方式に支持が移った、というわけだ。
ぐるなびは飲食店が発信する情報という特性もあって、宴会など法人需要にターゲットを合わせてきたことから、昨今の不況による法人需要の減少が逆風となっている。
一方、食べログは私的な(いわゆる自腹)需要が中心のため、フトコロ事情が厳しくなる中、消費者のより「店選びに失敗したくない」心理がプラスに働いている。
利用動向の変化は、ぐるなびとカカクコムの業績にも如実に影響を与えている。
ぐるなびの2011年3月期第1四半期(10年4~6月期)決算は、売上高で前年同期比8.3%増にとどまり、前四半期比では▲7%という大幅なマイナスとなった。第1四半期は不需要期とはいえ、09年4~6月期は同1~3月期に比べ▲1.7%のマイナス程度でとどまったことを考えると落ち込みが目立つ。営業利益は、拡販を狙った営業体制強化で販促費が膨らみ、前年同期比で▲4%の減益となった。
ぐるなびの収益のほとんどは、飲食店から受け取るサイトへの情報掲載料だ。主力の販促正会員プランの場合で月額5万円。全国に営業網を張り巡らせ、営業員が地道に飲食店を回り受注する。これまでは新規の受注を取り込むとともに、忘年会シーズンなどに合わせて、既存顧客の飲食店にもさまざま販促広告のオプションを販売、1飲食店当たりの収益も引き上げてきた(直近で約3.5万円、販促正会員よりサービス・価格水準の低い会員があるため平均は5万円より低くなる)。
しかし、足元では既存顧客の解約が増え、また飲食店当たりの収益も伸び悩んでいる。外食業界の不況で飲食店の閉店が増えていることに加え、サイト利用の伸び悩みから、ぐるなびへの広告掲載のコストパフォーマンスが低下しているためだ。この結果、忘年会シーズンの昨年末をピークに、飲食店からの情報掲載料は頭打ちで、これが業績を直撃している。