『ベスト・キッド』--世界の主要マーケットはアジアへ、精神面もテーマに《宿輪純一のシネマ経済学》



 
 今回の舞台は北京。筆者も北京の大学で講義を持っていたので、たびたび訪問してきた。(歴史も感じさせ、食べ物はおいしく、好きな街の一つである)。
 
 この米国から中国への舞台の変化は、まさに最近の経済状況を象徴している。
 
 先進国と新興国とを比較すると、欧州・米国・日本などの先進国は成熟化しており、成長率も低い。それに対し、新興国の成長率は非常に高い。その世界経済に占める割合(規模)も、2000年には先進国:新興国は、ざっくりいって、8:2だったのが、10年には7:3、そして20年には6:4になるともいわれている。G7からG20へと、国際会議の大舞台もG20となっている。
 
 さらに先進国から新興国への移行の象徴的な出来事として、米国から中国へとゆるやかに世界経済の中心が移っていることがいわれる。米国は、個人の消費と借金の性向の高さゆえ、世界の大消費地として、世界経済のエンジンとなっていた。将来、中国にその地位が移る可能性もある。今回、この母親は、デトロイトから北京の自動車工場で働くために引っ越す(ブルーカラ-か、ホワイトカラーかは分からないが)。
 
 さらに、最近の大型映画は、世界経済の大きな流れを、本作のように作品の中に織り込むことが多い。本作の舞台は中国であるが、『アバター』はその語源(サンスクリット語)といい、あの肌の色といい、インドを意識していた。最近では、さまざまな人種の俳優が登用されることが多くなっている。その登用された人種の方々がその映画を見る可能性が高まる。マーケティング的に、対象市場が先進国から新興国に移っているのである。
 
 さらに、この作品で特徴的なのは精神面である。いじめの問題はいつもある。最近、大学生と話したが、講義のときに手が挙がらない。なぜかと聞くと、最近の高校では手を挙げたりして目立ったり個性的な生徒はいじめられるそうである。これでは日本の将来の成長は望めない。日本の高校教育はどのような状況になっているのか。
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