『ベスト・キッド』--世界の主要マーケットはアジアへ、精神面もテーマに《宿輪純一のシネマ経済学》
今回ご紹介する『ベスト・キッド』(原題:The Karate Kid)は2010年製作であるが、1984年から4本作られた『ベスト・キッド』シリーズのリメイクである。
今度は舞台を中国・北京に移し、黒人の少年が主人公となる。武道はカラテではなく、カンフーだ。突っ込みどころはこの作品には多数あるが、細かいところを気にしないのがこの作品のいいところでもある。しかし、いじめられっ子が年老いたカラテ(カンフー)の先生に武道を教わり、いじめっ子をやっつけて成長していく、という基本線は変わらない。
オリジナルの『ベスト・キッド』シリーズは、空手の先生は日系人のパット・モリタで、いじめられっ子は最近あまり見ないラルフ・マッチオ、4作目では主人公なんと女性に変わり、その後アカデミー賞を受賞する女優のヒラリー・スワンクが演じる。彼女の実質的なデビュー作だった。
今回、カンフーの先生はなんとジャッキー・チェン(成龍)で、いじめられっ子はウィル・スミスの息子ジェイデン・スミス。彼はすでに『幸せのちから』『アイ・アム・レジェンド』等に出演。ウィル・スミスはこの作品の製作者で、先日、ジャッキーとジェイデンと共に来日した。
母親の仕事の都合で、一緒にデトロイトから北京へ引っ越した11歳のアメリカ人少年ドレ(ジェイデン)。女の子がらみで、いじめっ子から“徹底的”にいじめられる。アパートの管理人でカンフーの達人でもあったハン(ジャッキー)に助けられ、カンフーを身に付け、大会でいじめっ子をやっつける。ストーリーはかなりシンプルであるが、相変わらず感動的である。