3メガバンクが高水準の純利益、それでも景気減速が不安材料
一見、復調か。メガバンク3グループの2010年4~6月期の純利益はいずれも増益を達成。三菱UFJフィナンシャル・グループが前年同期比904億円増の1663億円、三井住友フィナンシャルグループが同1390億円増の2118億円、みずほフィナンシャルグループが同1543億円増の1498億円となった。いずれも、リーマンショック前の07年度の4~6月期を上回る。
ただ、内訳を見ると、好業績の特殊性がわかる。プラスに作用したのは、債券運用益の拡大と、与信費用が低く抑えられたことだ。
対前年同期比で見ると、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などのデリバティブのヘッジ損が消えた特殊事情も大きかった。これにより、みずほは約880億円、三菱UFJは約600億円の税引前利益改善があった。
超緩和的な金融政策に加えて企業からの資金需要も乏しい。そのため、銀行は国債しか運用手段がない状況に陥り、金利は低下(債券相場は上昇)を続け、売買益の計上がしやすい相場となった。とくに三井住友はこの利益が大きかった。
下期は貸し倒れ、減損も
一方で、銀行のコアな本業である貸出金は減少している。
金利の低下を受け、預金と貸出金の利回り差も一段と縮小し、預貸収支は低下している。もっとも、貸出先に大口破綻がなく、小口も公的な信用保証制度で倒産が抑制されているため、与信費用は三菱UFJで703億円、三井住友で317億円と低レベルだ。みずほは一般貸倒引当金の戻し入れが発生し、37億円とわずかだった。