混迷政局と日本経済のゆくえ--水野和夫×塩田潮
塩田 これからの政治リーダーに必要なのは、「これは無理なんだ」と正直に言うことはもちろん、「なぜ無理なのか」を、時間をかけてでもちゃんとわかるように説明しなければいけない。その上で、何をすべきかを見極め、到達の目標を提示して、工程表と手順、メリットとリスクも丁寧に説いた上で挑戦しなければ成功しない。
今回の菅首相のように真っ先に「消費税増税」といわなくても、もろもろの実態を伝えて無駄の徹底削減など、増税前にすべきことをきちんとやれば、2、3年後には、ある程度の増税はやむを得ないという実状が国民はちゃんと分かったと思うのです。
景気の二番底が到来!? 来年初めが危ない
--今後の1年をどう読みますか。
水野 二番底を懸念します。1992年に宮沢政権が対策をうって、3年をかけて景気が持ち上げ、1997年の橋本政権のときにまた落ち込んでしまったのを思い出します。今回は3年も持ち上げる財政の力もない。先進国が、新興国の成長に自分たちの成長を期待するのもとうてい難しい。
アメリカの財政の息切れがきっかけになるのではないでしょうか。来年の年初くらいが危ない。その後、V字型回復はではなくL字型に底ばうか、落ち過ぎた分の反発が多少ある程度と見ます。
塩田 鳩山氏も菅首相も、自民党に代わる政治をつくらなきゃいけない、の一点張りできてしまった。菅首相の口癖は、「一点突破、全面展開」です。突破してから考えるというような突破力だけで来ている。仮に9月の民主党代表戦は乗り切りってもねじれの状態は変わりませんから、七転八倒が続きます。