混迷政局と日本経済のゆくえ--水野和夫×塩田潮


 ところが、先の民主党の大勝は明らかに前の3回とは異なる。どうしてくれるかは分からないけれど、官僚機構自体を改革してくれると民主党に期待をかけた。

厨房の大改革に期待をしたのに、実際に出てきたメニューは「官僚依存」「無駄排除よりも増税」と以前とそう変わらないものだった。それで再び自民党に票が流れた。地方でも民主党は大敗した。いまだに地方に根強く残る成長願望、成長幻想が強かったということでしょう。

--民主党の経済政策はどのようなものですか?

水野 今は自民、民主の両党にも「これでいくんだ」という経済政策がない状況です。菅首相が言うように、公共事業をやめて、環境、介護、医療といった社会保障の要素を成長と結びつけるのは無理があるような気がします。

誰しも健康が第一で介護を受けたいと思っているわけではありません。健康でなくなった人が多いほど経済が成長する、というのはどうでしょうか。社会保障は経済成長とはなじまない。

塩田 民主党政権は自民党がやってきた政策の決定・実行の仕組みを変えるということで、「国のかたち」や「社会のすがた」という将来像はあっても、経済についてトータルなビジョンといったものは見えません。

水野 私はむしろ「成長なんて幻想」という現実をきちんと明言しないと、次のステップにいけないと思うのです。そう考えると、成長路線の自民党から政権交代し、向こう3年は国政選挙がない現在の状況は、民主党が明言するチャンスなのです。

本当は昨年の8月からこの1年の間に言うべきだったのですが、結局「強い経済、強い社会保障、強い財政」という成長路線をとってしまった……。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 会社を変える人材開発の極意
  • 就職四季報プラスワン
  • はじまりの食卓
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
<a href="https://bit.ly/2SmSYaR" target="_blank">新型肺炎で中国大停滞<br>アップル供給網に打撃</a>

新型コロナウイルスの拡大に伴う人の移動の制限によって、中国では企業活動の停滞が深刻です。iPhone生産にも甚大な影響が。組み立てを担う台湾・鴻海グループの鄭州工場は今……。「財新」特約のデジタル版連載「疫病都市」の続編です。