神田駅周辺、変わらないでほしい「下町の風景」 ほかの再開発エリアと同じ街並みはつまらない

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開業当時、東京メトロの前身である東京地下鉄道が多角経営の一環として設けた「地下鉄ストア」の後身で、都電の大ターミナルであった須田町交差点と地下鉄との乗り換え客を目当てにした地下街であった。余談だが、浅田次郎のベストセラー小説『地下鉄に乗って』の主人公の勤務先は、神田の地下商店街の中と設定されている。

須田町交差点から神田駅を見る(筆者撮影)
須田町交差点に面した東京メトロ神田駅6番出口(筆者撮影)
旧万世橋駅跡を走る中央快速線(筆者撮影)

JR神田駅北口から中央通りを歩いて靖国通りと交差する須田町交差点まで来ると、確かに店などが少なくなる。

ただ、もう少しだけ北へ向かうと、1943年に実質的に廃止された万世橋駅と2006年に閉館した交通博物館の跡を整備した、JR神田万世橋ビルと「mAAch ecute 神田万世橋」があり、赤レンガ造りの中央快速線高架橋を活用した街づくりが行われている。最寄り駅は秋葉原だが、JR神田駅から歩いても10分ほど。そして神田川を渡れば、すぐに電気街である。丸ノ内線淡路町駅も近い。

つまり、須田町交差点付近にもう少し街と街をつなぐ何かができ、歩道の整備が進めば、神田から万世橋を経て秋葉原または淡路町まで、楽しい回遊路ができそうなのだ。

家電量販店でも進出してこないかと考えてしまう。今の秋葉原のルーツは戦後、須田町に集まってきた電気部品の露天商である。あるいは地下商店街の復活とか。地下鉄神田駅6番出口があるビルは、現在、東京メトロの健康センターとなっている。商売気を出して、改札口から出口まで、ショッピングストリートにでもならないだろうか。

チケットショップはどうなる?

神田らしい風景と言えば、格安チケットショップもある。東京駅近辺では、新橋駅前と並ぶ集中地帯だ。

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しかし今、JRのきっぷ販売戦略の転換により、新幹線などの回数券が全廃へと向かっており、例えば東京―新大阪間など東海道新幹線の主要区間の回数券は、2022年3月の発売終了をJR東海が予告している。JR東日本、JR西日本も、これと同調する。

つまり、回数券のバラ売りで利ざやを稼いでいるチケットショップが、主力商品を失う可能性が高まっているのだ。日本航空や全日空が2008年に回数券を廃止したことに続く打撃になりそうで、今回こそ「存亡の機」である。神田の風景も、少しずつであるが、これから変わっていきそうだ。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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