米GEが目指す、産業の「ネット化」とは? 自動車リースから始まる日本市場攻略

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ネットで保守業務を進化させる

――そもそもGEは今なぜ、インダストリアル・インターネットの分野に舵を切っているのか。

 我々は航空機エンジン・ガスタービン・鉄道車輌、さらに医療機器や機関車なども造っていて、元々はそういった機器を販売することから始まり、パーツの交換などの保守業務を行っていた。しかし、2000年代はじめ頃からは、安定運行のために長期保守契約を結び、定期点検するモデルに変わっていった。

これをもう一歩進めると、一切壊れない、止まらないためにはどうすればいいか、ということになってくる。すると機械そのものにセンサーがたくさん付いていて、稼働している間に状況をリアルタイムに発信し、それをGEが受け取って分析するようになる。

ガスタービンの場合、音や圧力、温度や振動を、パターン化するのがいい、という発想になった。「何番タービンは過去のデータによると、ここの部品が磨耗している可能性がある」といったことがわかってくるわけだ。

インダストリアル・インターネットと似た概念で、「インターネット・オブ・シングス(IoT)」という言葉があるが、こちらはモノ自体にセンサーが付いていて、それをマーケティングなどに活用しようというもの。我々の場合、顧客資産を最適に管理する保守業務の観点から、インダストリアル・インターネットによって、効率改善やダウンタイム(停止時間)をゼロにすることだったり、化石燃料の使用量を減らすことだったりすることを目指している。その点で、BtoCが主な対象となるIoTと、インダストリアル・インターネットはやや異なっている。

――日本で今後、自動車リースの車輌管理以外に、インダストリアル・インターネットのサービス領域は広がるのか。

広がるだろう。GE全体としてはいくつも事例が出てきている。12年12月には、アクセンチュアとの合弁会社タレリスを設立した。この会社では、顧客の航空会社に向けて、航空機の部品やシステムに設置されたセンサー経由のデータを分析し、機体のメンテナンスと飛行業務の最適化を図るため、予測に基づく推奨をしている。これによって、航空会社は定時運航率が上がり、乗客の満足度を上げられるほか、燃費の効率も上げられる。他にもヘルスケアの分野でも、面白い事例が生まれている。こういった事例を日本で展開することも考えていきたい。

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