SKE48とココイチが狙う「華麗な販促」の勝算 販促効果は、通常の広告のなんと12倍!

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では今年のキャンペーンはどうか。第1弾の期間は11月16日までの2カ月間と、昨年の1カ月半よりも延長。ココイチの最大の特徴であるカレーの「豊富なトッピングメニューの認知向上に貢献してくれた」(徳永課長)こともあり、今年はより徹底する方針だ。

「真の全国チェーン」になれるか

すなわち、「推しトッピング対決」では、3つのチームの人数を各6人から8人に増強(計24人)し、対象のトッピングメニューも増やし、「公平性」にも配慮したという。

新メニューの「手仕込みメンチカツ+粒マスタードタルタルソース」。人気となるか

9月2日の記者会見では、昨年最下位のチーム・ミートを率いた高柳明音が「明音ちゃんのチームは肉だから(胃に重くて)何度もトッピングできないんだよ~」などと、とファンから指摘されたことを吐露したが、こうしたファンの声も反映したというわけだ。

「昨年の得票数を元に3チーム(「チーム華麗」「チーム具具Goo!」「チームぐつぐつ~煮込まれてます~」)に、公平で具材が偏らないようにチームごとのメニューを割り振った」(浅井経営企画室長)。

さらに、同社では、中食市場の取り込みも狙い、第2弾「うちここ」キャンペーン(11月17日~12月31日)も開催予定。第2弾では、テイクアウト・宅配利用客(税込1080円以上)に、キャンペーン選抜各チームのクリアファイルを贈呈、中食市場の深耕を図る。逆に従来は「生協向けレトルト商品」として人気があったキーマカレーを期間限定で店舗でも販売。また、パッケージにはSKEのメンバーが登場し、1個購入すると特製ペーパーフィギュア(10種のうち1種)がもらえる。

さらに、「AKB48グループ」全体の衣装を担当するオサレカンパニーがデザインした新ユニフォームも、一部を除くほぼすべての店舗で12月下旬から順次導入されるなど、昨年と比べ、より多角的で盛りだくさんの内容になっている。

壱番屋自体も、こうしたキャンペーンをきっかけに一段と「全国区」への脱皮を目指す。いまや国民食といわれるカレーで、手堅い経営をする同社(前2014年5月期売上高425億円、営業利益43億円、それぞれ前期比6%、8%増)。この4月には、SKE人気だけでなく、人気バラエティ番組「アメトーク」(テレビ朝日系列)で「CoCo壱番屋(ココイチ)芸人」特集効果も出て、4月単月の売り上げは前年比で20%増という驚異的な数字を記録した。

だが「ココイチの知名度はまだまだ」(徳永課長)という。国内の総店舗数は約1200店の吉野家とそん色ないのだが、まだまだ知らない人も多いというわけだ。実際、TV放送があった後の5日間で、同社はアメトークについて言及があった顧客アンケート500枚を抽出して分析してみた。すると、初来店は37%にものぼり、年1回しか来店しないと答えた顧客も17%いた。

つまり、未開拓顧客や実質的な休眠顧客の合計は半数を超えていたことになる。またアンケートを提出した65%は女性であり、「女性顧客の開拓余地はまだまだ残っている」(浅井経営企画室長)。

実際、ココイチの既存顧客層のうち、約8割は男性だ。人気アイドルグループの起用は、既存の男性顧客層を深掘りするには最適の選択肢の一つだったように見える。

順位は公表されないものの、「SKE48独自総選挙」のような感覚で、今年のSKEキャンペーンは昨年以上に盛り上がるかもしれない。だが、「真の全国チェーン」を目指すにはどうすればいいのか。壱番屋は、キャンペーンで浮き彫りになった「大きな課題」をこなそうと、知恵を絞る。

竹内 一晴 ジャーナリスト

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たけうち かずはる / Kazuharu Takeuchi

1970年名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。大手芸能事務所、CS演劇専門放送局プロデューサー、写真週刊誌専属記者等を経て2004年からフリー。報道・表現の自由、大学自治、韓国社会事情、カラオケ、アイドル等の記事を執筆。田島泰彦編『個人情報保護法と人権―プライバシーと表現の自由をどう守るか』に論稿掲載。48グループの推しメンは松井珠理奈(SKE48)、注目株は山田菜々美(AKB48・Team8)だが、全メンバーを公平に見ることをモットーとする。

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