沖縄米軍「クラスターでもノーマスク外出」の怖さ クリスマス、年末年始と地元住民は戦々恐々

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もう1つ問題なのが、基地の外で生活する軍人や軍属だと指摘する。

「中尉だとか大尉だとか、階級のある人は基地にいない。基地外で庭のある1~2階建ての住宅に奥さんや家族と住んでいる。そこからキャンプ・ハンセンに車で通勤する。そこでマスクもしないで仕事をして家に帰る。庭があるから仲間を呼んでパーティーもする。休みの土曜日、日曜日には散歩もする。その家族が買い物にも出る。それがマスクをしていない」

だから、今一番困惑しているのはスーパーマーケットだという。

「基地から出てくる兵隊も、基地外の住宅に暮らす家族も、マスクをしないで飲食店で持ち帰りの食品を買ったり、スーパーマーケットで買い物をしたりする。県民も来店するから対策をどうしようか話し合っている。観光客も含めてわんさか客がいた食堂では、アメリカ軍の関係者がマスクもしないで買いにくるから、店に客が来なくなった」

どこに誰が住んでいるのかを自治体が把握していない

しかも、基地外の住宅に暮らすことには別の問題がある。

「いったいどこの住宅に誰が住んでいるのか、自治体が把握していない。自治体が報告してくださいと求めても、しない。住民票もない。地位協定があるからだ。だから、事件があっても解決しないし、わからないことだってある」

こうした感染症対策にこそ、地位協定の見直しの議論があるべきだと指摘する。

いずれにしても、本土からは想像もできない状況にある。日本の感染対策は無視されている。これで沖縄県民に感染が拡大すると、それは本島への感染拡大も覚悟しなければならない。

観光を含めて本島との往来は多い。しかも、繰り返すがオミクロン株は、これまでよりも感染力が強いとする研究報告が相次いでいる。

「キャンプ・シュワブでも感染者が1人出ている。おそらく基地内で広まっているのだろう。あそこも基地外からの通勤が多い」

岸田文雄首相は24日までに、大阪、京都、沖縄、それに東京の4都府県でPCR検査を無料で実施する方針を示した。しかし、すでに沖縄県では22日から24日までアメリカ軍と関係の深い職種の県民にPCR検査を実施している。飲食業、タクシー運転手、理髪店、それに「刺青屋」などだ。アメリカ人はボディーアートとしてのタトゥーを好む。

「そこでどういうものが見つかるか。日本人の基地従業員がマスクをして、いくら対策をしたところで、もう感染者がでているのだから」

そしてここへきて、年末最大のイベントであるクリスマスを迎えた。その1週間後には給料日あとの年末年始。はたして、どういう状況になるのか。これは沖縄だけの問題ではない。

青沼 陽一郎 作家・ジャーナリスト

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あおぬま よういちろう / Yoichiro Aonuma

1968年長野県生まれ。早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち、独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。著書に、『オウム裁判傍笑記』『池袋通り魔との往復書簡』『中国食品工場の秘密』『帰還せず――残留日本兵六〇年目の証言』(いずれも小学館文庫)、『食料植民地ニッポン』(小学館)、『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋)などがある。

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