沖縄米軍「クラスターでもノーマスク外出」の怖さ クリスマス、年末年始と地元住民は戦々恐々

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日本政府はオミクロン株対策として、11月30日からすべての外国人の新規入国停止など水際対策を強化しているが、基地に直接降り立つ人々は、日本の空港検疫の対象とならない。日米地位協定があるからだ。旅券やビザに関する国内法の適用が除外されている。

「基地でも14日とか、10日とか、到着後の待機期間があるとはいうが、その規定もあいまいで、確実にはやっていない。ずっと前からだ」

基地に直接入国したアメリカ兵や軍属が、日本の検疫を免れてそのまま基地の外に出る。しかも、

「キャンプ・ハンセンの基地の様子を双眼鏡で眺めてみると、ほとんどの人たちがマスクをしないで作業や訓練をしている。着用の規定もない。自分の判断でするしかない」

キャンプ・ハンセンのメインゲートの真ん前には、金武町の繁華街がある。そこにアメリカ兵たちが出てくる。やはりマスクをしていない。

林外相は改善を求めたが…

22日、林芳正外務大臣が兵士の感染対策が不十分だとして、ラップ在日アメリカ軍司令官に電話で直接、遺憾の意を伝えて、改善を求めたことを明らかにしている。21日には沖縄県の玉城デニー知事が、アメリカ軍に同基地関係者の外出禁止措置を講じるよう申し入れている。

「その夜から若干、飲み歩くアメリカ兵の数は減っている。県も町も申し入れて、司令官にも届いているから自粛の傾向にはあるのだろう」

とは吉田氏もいうが、本当の理由はほかのところにあるようだ。

「給料日前で金がないから出てこない」

吉田氏によるとアメリカ軍のペイデイ(給料日)は15日もしくは30日。通常でもこの時期は給料日前で、飲み歩くアメリカ軍関係者の姿も減るという。

「ただ、24日、25日はクリスマスだから、どうなるか。暮れと正月はどうなるか。給料が出れば、基地からは出てくる。それもマスクもしない。規定もなければ、アメリカと同じ感覚でいる」

そこにはアメリカ人ならではの気質も働く。

「自主独立を尊重するから、基地の中では上司でも、基地を離れれば対等な立場になる。日本では私生活でも上司に対する態度はいっしょだが、ここでは違う。マスクをしないのも自由。上司の要請も自粛も関係ない」

さらには店側の事情が絡む。

「多くの店ではシールドを置くなど県の指導に従ったコロナ対策ができているが、アメリカ軍関係の飲み屋はフリー。飲み放題でおしゃべりしてダンスをしている。そういうところは、日本人の経営ではない。フィリピンやブラジル、メキシコ、ボリビアなどの南米から来て帰化したり、軍属が日本人の妻の名義で経営したりしているところが多い。それで感覚が違うのか、対策がずさん」

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