2022年の円安シナリオの死角は「ドルの需給」 膨張するアメリカの経常赤字とドル相場の関係

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経常赤字拡大が続けば、ドル相場への影響も見通しに織り込む必要が出てくる。下図に示すように、経常収支(対名目GDP比)と名目実効ドル相場(以下ドルNEER)は相応に安定した関係がある。

前述のように、現在の経常赤字は2006年以来の水準であり、結果的には当時のそのような不均衡がサブプライムショックやリーマンショックに連なるアメリカの行きすぎた消費・投資意欲の表れでもあったことを思えば、危険なシグナルにも映る。ただし、GDP比で見れば当時の半分程度でもあり、長期的に見ても名目GDP比マイナス3~4%の赤字が際立って大きいというわけでもない。絶対額だけを見ているとバランスを欠くので注意が必要である。

経常赤字がGDP比マイナス6%程度だと危険

そうはいっても、である。経常赤字に遅行してドル相場は動くため、今年に記録した赤字が2022年の重しとして働く可能性は十分考えられる。輸入増加は供給制約を背景とする企業の一時的な在庫充填の動きが反映された可能性が高いため、7~9月期に見られたような赤字拡大が基調的な動きとして根づくようには思えない。しかし、「世界的にアメリカ経済の成長率が相対的に高め」という2021年の構図が続けば、内外景気格差を背景に貿易赤字主導で経常赤字が拡大し続ける可能性も残る。

アメリカ経済が世界経済のエンジンであることは確かだが、アメリカ依存が強くなりすぎることは需給面でのドル安リスクを高めるという考え方もある。まず目安としてサブプライムショック直前に記録した名目GDP比でマイナス6%前後の赤字が視野に入るどうかという目線でドル安リスクに構えたいところである。

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