2022年の円安シナリオの死角は「ドルの需給」 膨張するアメリカの経常赤字とドル相場の関係

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アメリカのインフレの一因ともなったモノの消費爆発、輸入急拡大。経常赤字も膨らんだ(写真:Bloomberg)

2022年も日本経済の劣後(コロナ禍からの回復の遅れ)が、金融市場では「日本回避」というテーマに直結し、円が売られる流れは継続するのではないかと、筆者は予想している。オミクロン変異株を受けた爆発的感染は日本でいまだ確認されていないにもかかわらず、第6波をまるで心待ちにするかのように、新規感染者数の微増を捉えて囃し立てる動きが目につく。

2022年も新型コロナの感染者数や重症者・死者数が他国対比で軽微でありながら、過剰な防疫対策により日本経済の消費・投資意欲が削がれる局面が続くように思えてならない。対策自体の是非はさておき、2021年の成長率格差の真因はほぼ間違いなくコロナ対策の格差にあった。

浮上する「需給でドル安」のリスク

かかる状況下、ドル円相場の方向感は2022年も円売り主導で上昇方向と考えているが、ドル側にも売り要因が浮上していることには留意したい。

12月21日、アメリカ商務省が発表した7~9月期経常収支は需給面からドル売りが優勢になる可能性を予感させるものであった。7~9月期のアメリカの経常収支はマイナス2148億ドルと、赤字は2006年7~9月期以来、約15年ぶりの水準に達した。名目GDP(国内総生産)比ではマイナス3.7%に達し、これは2008年10~12月期以来の高水準となる。赤字を主導したのが為替の需給と関連の深い貿易赤字であることを踏まえれば、需給面から見たドル安リスクは無視できないものがある。

(外部配信先では図表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

貿易赤字の中身を簡単に見ていくと、アメリカの世界向け輸出は天然ガスや石油製品を中心とした増加によって4416億ドルと過去最高を更新しているが、輸入も石油製品や化学製品を中心に7164億ドルとこちらも過去最高を更新している。7~9月期GDPを支えたのは在庫投資で、GDPの前期比年率プラス2.0%に対して在庫投資がプラス2.1%ポイントの寄与度だった。したがって、供給制約を背景とする物資不足の中、企業が減った在庫を充填する動きが輸入増加を牽引したのが実情であろう。

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