発進はモーターのみで、途中からエンジンが始動し、回転を上げていく。右足を緩めるとエンジン側の変速が行われ回転が落ちる。スロットルペダルから足を離すとエンジンが停止してエネルギー回生が始まり、ブレーキペダルを踏むと回生が強まる。Bレンジではそれぞれの回生がさらに強くなる。
変速時にサブモーターが瞬時に作動してショックを消してくれるおかげもあり、加減速はスムーズ。でも一部のHEVにあるファジー(曖昧)な感じはなく、吹け上がりや変速などはダイレクト感にあふれている。「これはHEV嫌いのためのHEVになる」と直感的に思った。
そのキャラクターを強調するのがスポーツモードで、レスポンスが鋭くなるだけでなく、減速時にもエンジンをすぐに止めず次の加速に備え、サブモーターを活用して加速の立ち上がりをよくするなど、走り好きの気持ちを理解したチューニングに感心した。
逆にエコモードでは徹底的にモーターを使い、エンジンの回転も抑えめになり、ブレーキを掛けたときの回生は強めになる。スイッチ操作で電動走行も可能だ。HEVとしては、モーター走行の比率は多めだった。
車両重量は1435kgと日本仕様のキャプチャーより100kg以上重いが、タイヤサイズは215/55 R18でキャプチャーと同じ。ホイールベースとトレッドは、ともに拡大している。
乗り心地は、タイヤの大きさや重さが気になることもあるキャプチャーに比べると、落ち着きが増しているといえる。ハンドリングに腰高感はなく、ハッチバックに近い感覚で曲がっていけた。
このクラスのSUVとしては、ホイールベースを長くトレッドを広く取ったことが、クーペらしい優雅で安定した走りにつながっている。
ライフスタイル重視のルノーらしい1台
フランスでは、2021年9月以後プジョー3008を抜いて、CセグメントのSUVでベストセラーになることが多くなっているアルカナ。
ファミリーカーとしても使えるクーペスタイル、ルノーならではの乗り心地とハンドリングのバランスとともに、燃費がよく走りも楽しいE-TECHが効いているのだろう。
ヨーロッパのユーザーだって、充電環境や航続距離の面からBEVやPHEVに行かない/行けない人もいるはずだ。そういうユーザーに目を向けず、日本製ハイブリッド車への対抗意識からBEVシフトに進む一部メーカーの姿勢は、ユーザー不在に映る。
そんな中でルノーは、BEVで先行していたこともあり、ディーゼルの代替として日本車が得意とするHEVを投入してきた。テクノロジーよりもライフスタイルを重視した姿勢が実にフランスらしく、ルノーらしいと思った。
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