2021年8月にモデルチェンジを実施し、200系から300系へと世代交代したトヨタのフラッグシップSUV「ランドクルーザー(以下ランクル)」。すでに写真や動画でデザインを確認している人も多いだろう。
筆者もその1人だったが、先月横浜で行われた報道関係者向け試乗会で実車に触れると、改めてわかった部分もあった。その印象を含めて、新型のデザインについて紹介していきたい。
まず触れておきたいのは、ボディサイズとプロポーションだ。
モデルチェンジのたびに大型化する車種が多い中、300系は全長4950~4985mm、全幅1980~1990mm、全高1925mmと、3サイズは先代とほとんど同じで、2850mmのホイールベースに至っては3世代前の80系から変わっていない。
道なき道を走るための必然
ご存じの方もいるかと思うが、ランクルは世界各地の道なき道を踏破するために供給される、究極のモビリティツールだ。意味のないサイズアップは、ツールとしての機能をスポイルするおそれがある。
たとえば、オフロード性能の指標になる数字の中に、ボディの前端・床下・後端がそれぞれ乗り越え可能な角度を示す、アプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルという3つの対地障害角があるが、ボディを拡大すると、最低地上高を上げなければこの3つの数字は小さくなってしまう。こうした条件までを考えて、サイズをいじらなかったのだろう。
ただし、プロポーションは少し変わっている。大小の箱を積み重ねたようなステーションワゴンスタイルは先代200系と同じだが、ノーズがやや長くなり、キャビンは少し後方に寄せてある。
これは300系が初導入となる、TNGA思想に基づく新世代プラットフォーム「GA-F」が関係している。
GA-Fプラットフォームでは、走行性能向上のためにエンジン搭載位置をこれまでより低く、後ろにしたからだ。デザインではこれを生かし、ルーツである50系に近いプロポーションとすることで、ヘリテージ性も盛り込んだという。
一方、多くの人がもっとも変わったと思っているであろう顔つきは、実は先代200系のマイナーチェンジ時にヒントがある。
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