東京駅前「大変貌」で八重洲地下街はどう変わる? 鉄道・クルマ、バス結ぶハブ機能で価値向上狙う

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商業エリアの下、地下2階には東と西、2つの地下駐車場が広がっている。もともと地下街は、東京都の公共駐車場整備に合わせて誕生したという歴史的な経緯がある。

左が首都高からの地下駐車場入り口。右に進むと乗客降り場がある(記者撮影)

駐車台数は774台。レンタカーの店舗も複数あり、ヤエチカは東京駅エリアの鉄道とクルマの乗り換え拠点となっている。地上の出入り口のほか、首都高速八重洲線とつながっていて直接乗り入れることができる。また、駐車場には入らずに、乗客を降ろす設備もある(乗車は不可)。この設備から階段を上って扉を開けると、にぎやかな地下街に出る。

交通結節点としての役割増す

八重洲では現在、東地区・北地区・中地区の3つの大規模な再開発が進行中。最高で約250mとなる3棟の超高層ビルを建設する計画だ。それぞれ地上1階から地下にかけてバスターミナルを整備する。整備事業の実施主体はUR都市機構で、京王電鉄バスが運営を受託する。

再開発工事が進む八重洲と高速バス乗り場(記者撮影)

地上の道路に面して点在する高速バスや空港連絡バスの乗降スペースを集約して、3地区で計20の乗降用バス停が誕生することになる。このうち北地区は2022年8月の竣工予定で、バスターミナルも一部開業を予定する。

再開発エリアと東京駅を結ぶヤエチカの存在感はこれまで以上に増しそうだ。同社の丹羽専務取締役も「東西南北に広がっていて日本橋、八丁堀、有楽町、銀座、丸の内といった地上の街の特性を結び付けられるのはヤエチカしかない」と意気込む。

周辺の大規模再開発に合わせてヤエチカもリニューアルを順次進めていく。その一環としてカレーの人気店4店舗を集めた「TOKYO CURRY QUARTET」(トウキョウ カレー カルテット)が2022年2月にオープン。ヤエチカにしかない特色を出すことで、地上に誕生する超高層ビルの商業施設との差別化に先手を打つ考えだ。

八重洲という地名は1600年に九州の豊後に漂着したオランダ人航海士のヤン・ヨーステンにちなむ。ヤエチカではマスコットキャラクターとして活躍する。地下街の一角に立つ彼の銅像は、変化し続ける八重洲をきょうも見守る。再開発で周囲の商業ゾーンが拡大するなか、限られた店舗面積でいかに価値を高めていくか、老舗地下街ヤエチカの手腕が試されている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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