日本振興銀行、綱渡りの経営、二重譲渡債権で敗訴 

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 なぜなら一連の裁判は、巨額の譲渡債権のうち、信託銀行側が契約のタイプごとにサンプルとして選んだ案を対象にしている。典型的な事案で法的判断が出たことで、他の譲渡債権にも影響を与えるとみられるからだ。監査法人の判断次第だが、振興銀は今年9月末の第2四半期決算で、損失に備えて関連引当金の計上を迫られる可能性がある。

引当金で資本が細る

二重譲渡の規模は1万5000件から2万件程度、金額的には600億円程度とみられている。このうち「95%は信託銀行側が先に譲渡登記している」(関係筋)という。

地裁判決を援用すると、二重譲渡債権の多くが信託銀行側に債権が帰属することになる。利息制限法で融資された600億円のローン債権を利息制限法の金利水準に引き直しても、「合計額は300億円から400億円程度になる」(金融関係者)もよう。

振興銀の純資産額(今年3月末)は274億円にすぎない。関連引当金の計上が膨らめば資本増強を迫られる。だが増資をするにしても、振興銀に新たに資金を投入するところが現れるのかどうか。綱渡りのような経営が続く。

(浪川 攻 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2010年8月7日号)

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