「子どもは静かに溺れる」本当に怖い家庭内事故 7割の人がヒヤッと、子どもの事故を防ぐには?

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事故を深刻にするのは、親がすぐに気がつかないことも多いからだ。消費者庁では、子どもが悲鳴を上げたりバシャバシャ音を立てたりしないで、静かに溺れてしまうことも多いと、浴室の危険性に注意を促している。そして、次のような点に注意してほしいとしている。

【家庭内の子どもの溺水事故を防ぐ注意点】

(1)子どもの見守り
□子どもだけで入浴させない
□子どもを浴室に入れるときは大人より後に、出すときは先にする
□大人が洗髪する間は子どもを浴槽から出す

(2)浴室等の水回りの環境づくり
□子どもが小さいうちは入浴後に浴槽の水を抜く
□子どもだけで浴室に入れないように、ベビーゲートなどを設置する
□使用後の洗濯機、洗面器、バケツに水をためたままにしない。洗濯機にはチャイルドロックをかける

そうはいっても、子どもを見続けるわけにはいかない。どうしても目を離さざるをえないときは、子どもとの会話を続けるのがよいという。

また、気をつけたいのは入浴中の溺水事故だけでない。最近の浴槽の高さは、バリアフリー仕様で、高齢者がまたぎやすいように低くなっている。以前よりも子どもがよじ登りやすくなっているので、ふたの上で遊んでいるときに、ふたがはずれて落ちてしまうこともある。そこで、浴室に入れない工夫や残り湯を抜いておくなどの「環境づくり」対策も重要になる。

集合住宅の改修支援へ

小さい子どもの事故のリスクは、家の至るところに潜んでいる。日本の住宅では、子どもの安全確保が十分とは言えない状況だ。政府は、令和3年度補正予算案に「子育て支援型共同住宅推進事業」を盛り込み、12月20日に補正予算が成立した。政府も子どもの安全確保を重視しようと動きだしたわけだ。この事業は、「子どもの安全確保や子育て期の親同士の交流機会の創出に資する共同住宅の新築・改修に対して国が直接支援を行う事業」だ。

補正予算案の具体的な内容を見ると、対象となる住宅は、賃貸住宅の新築・改修と分譲マンションの改修、つまり集合住宅に限られる。補助金の額は、改修の場合なら設備設置費用の1/3(上限100万円/戸)。

補助対象となる設備は、(1)子どもの安全確保に資する設備の設置、(2)住居者等による交流を促す施設(集会室やプレイロット、交流用ベンチ等)の設置。また、「子どもの安全確保に資する設備」とは、浴室扉の外鍵、転落事故を防止する手すり、ドアストッパーやドアクローザー、チャイルドフェンス、ドアや扉への指詰め防止工事、防犯カメラ、防犯性の高い玄関ドアなどが挙げられている。

さて、年末年始には、祖父母の家で過ごしたり、子どもの友達を自宅に招いたりすることもあるだろう。祖父母の家で遊んだり、自宅で子どもだけで遊んだり、ベランダから友達や家族を見送って手を振ったりといった当たり前のシーンの中に、子どもの事故のリスクがあるのだから、本当に怖いことだ。後悔することのないように、子どもの安全を見守ってほしい。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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