「防災行政無線が聞こえない」重大問題への処方箋 いつ起こるかわからない災害への備えは不十分だ

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コミュニティー放送の事業者数は大規模災害増加と歩調を合わせるように増えている。(総務省の検討分科会が示した取りまとめ案から)

大規模災害が発生した時に臨時災害FMを開局できるかどうかが不確かであるという問題。そして、コミュニティーFMの開局が難しいという問題。どちらも、FM放送向けの周波数が逼迫しているという事情が原因になっている。

使われていない周波数を臨時災害FMに

その2つの問題が解決される兆しが見えてきた。2021年12月15日に開かれた総務省の「放送用周波数の活用方策に関する検討分科会」で取りまとめ案が了承されたのだ。2018年9月に放送大学が地上波による放送を終了した後に使われていない周波数を臨時災害FMの専用周波数として利用してもらう方向が盛り込まれている。

また、2011年7月に地上デジタルテレビ放送への移行に伴って空いた周波数の一部(95~108メガヘルツ)を使ってFM放送用の周波数拡充を行う方向も含まれた。

総務省放送技術課によると、今後、パブリックコメントを受けるなどの手続きを経て来年3月までに報告書の形で最終決定。その後、1~2年で実際の運用につなげていくという。

この検討分科会は、2015年に始まった「放送を巡る諸問題に関する検討会」にぶらさがる13のワーキング・グループや分科会のひとつで、2018年にスタートした。それから3年たってようやく方向性が示され、さらに1~2年でこれまでネックになっていた課題が解決される。

大規模災害はいつ起こるかわからない。区市町村などの自治体は、国の制度が改善されるまで待つわけにはいかず、現在可能なさまざまな方策をあわせて対応する。住民の関心が高く、お尻に火がついた状態だからだ。総務省による電波行政を含め、国の防災減災対策の迅速化が望まれる。

河野 博子 ジャーナリスト

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こうの ひろこ / Hiroko Kono

早稲田大学政治経済学部卒、アメリカ・コーネル大学で修士号(国際開発論)取得。1979年に読売新聞社に入り、社会部次長、ニューヨーク支局長を経て2005年から編集委員。2018年2月退社。地球環境戦略研究機関シニアフェロー。著書に『アメリカの原理主義』(集英社新書)、『里地里山エネルギー』(中公新書ラクレ)など。2021年4月から大正大学客員教授。

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