「投資で失敗したくない」人が絶対に守るべき3項 「投資はあくまで人生の脇役」と心得ておくこと

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筆者がボストンでファミリーオフィス(資産家一族の富を管理・運用する組織)を訪れた際、リーマンショック時に株式市場が暴落して慌てて電話をしてきた顧客に対して、ひたすら「落ち着いてくれ」という話をしたうえで、NYダウやS&P500の長期チャートを見せていたというエピソードを聞いた。

まさに目先の株価の動きに動揺せずに、長い目で見るという基本に忠実な動きができるかどうか。ここは、この5年ぐらいで投資を始めた人たち全員に求められる部分なのではなかろうか。

投資は人生の脇役にすぎない

冒頭に投資にはいくつもの種類があるとしたが、筆者のもとに寄せられる相談のなかでも多いのが、FX(外国為替証拠金取引)をやってみたいというものだ。投資の第一歩がFXというのは筆者からすると違和感はあるのだが、なぜFXに興味があるのかを聞いてみると、短期間で大金を手にしたという経験談をネットで見たからという話が多い。

FXの場合、レバレッジを25倍までかけられる。筆者もFXの経験はあるが、当時はもっと高いレバレッジがかけられる時代だった。たしかに、レバレッジをかけた投資がうまくいけば、それだけ短期間で大金を儲けられることにはなる。しかし、当然ながらその逆もまたしかり。一瞬にして大金を失うこともある。

また日本株の場合、9時から始まり、昼休みを挟んで15時までが取引時間であるが、FXの場合、平日は1日中取引が可能だ。高レバレッジでFXをやると、少しでも自分の予想と逆の値動きをすればロスカットされてしまうため、相場が気になって仕方がなくなる。

そうすると、仕事の合間にスマホで相場を確認したり、家に帰っても家族の時間を蔑(ないがし)ろにして相場を確認するといった状態に陥る。そんな精神状態で投資をしていても、投資はうまくいかず、仕事も家庭も悪い方向に進んでいく。気づけば何もかも失っていたとなりかねない。

筆者は投資をすることは賛成だが、どこまでいっても投資は人生の脇役にすぎないと考えているし、そうあるべきだと思う。投資によって人生が悪い方向にいってしまっては本末転倒だ。

投資を通じて経済や政治に興味を持ち、資産も知識も増えていく。これが理想であり、決して投資中毒にはなってほしくない。新たな年を迎えるにあたって、新たなチャレンジをするのは応援をしたいが、とにかく基本を忘れないでほしい。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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