科学者が懸念「人類滅亡を招きかねない」2つの事 AIはいつ「シンギュラリティ」を迎えるのか

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─―同感です。ところで、“Our Final Century?” (邦訳『今世紀で人類は終わる?』草思社)は10年以上も前に書かれた本ですが、人間の脳そのものがデータ化されることによって、肉体が滅んでも不死になる可能性を指摘されていますね。その考えはまだ変わりませんか?

もちろんです。より多くの人がその研究にとり組んでいます。研究者たちは老化が治癒できる病気であり、脳そのものをダウンロードできるようになると考えています。しかし、その場合でも「それはあなたであるか」という哲学的な問いが残っています。

―─なるほど。自己同一性の問題ですね。

つまり、血肉の通わない身体は本質的な存在であるのかどうか、という問いです。というのも、われわれの人格は自分の身体と外界とのかかわりによって形成されているからです。

そうだとして、脳そのものがダウンロードできたら、ハッピーか? そうなれば、生身の身体は不要になるとして、それでも幸せか? それと、自分の脳の電子コピーがたくさんつくられるという問題もあります。こういう哲学的な問題の多くは、それらが実現した場合、実践的な倫理の課題になるかもしれません。ただ、それにはまだ長い時間がかかります。

未来に「蘇生」されるのを望むのは身勝手だ

―─複製可能なアンドロイドは自分なのか。そもそも人間なのか、という問いですね。

レイ・カーツワイル氏はこのような状況を望んでいる1人ですが、彼は「シンギュラリティ(技術的特異点:AIが人間を超えること)」がいつか起きると考えていますが、すでに70歳を超えた彼が生きているうちには実現しないでしょう。

彼は、自分の身体を液体窒素で凍結させておき、人間が不老不死に達することができたとき、または脳がダウンロードされるようになったとき、蘇生させてほしいと願っています。あまり現実的ではありませんし、賢明な考えとは思いませんね。

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