11代目シビック「爽快」のあだ名に恥じぬ出来の訳 原点回帰の良さ◎、HEVやタイプRにも期待

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特徴的なリアスタイル(写真:Honda Media Website)

ただし、そうやって調子に乗ってペースを上げていくと、シートのホールド感が物足りなくなってくる。横方向はいいのだが、お尻が前に滑りがちなのだ。また、MTにはアクセルの自動ブリッピング機能があってもいい。久しぶりにMTもいいなという人に対する間口、大きく広がるはずだ。

逆にMT大好きな人のことを考えると、クラッチペダルはもう少しダイレクト感があってもいいかもしれない。デュアルマスフライホイールのせいか、現状は踏力は軽い一方、ペタッと適当に繋がってしまって、操る醍醐味を削いでいる気がするのだ。

「爽快シビック」という名の原点回帰

過去、ワンダー、スポーツ、ミラクル…など色々な渾名をつけてきたシビック、今回は日本語で爽快シビックを名乗る。確かにすごく刺激的というよりはあらゆる場面で心地良く、楽しめる、この一緒にスポーツを楽しむ相棒のような感覚は、そういう言葉で表現してもいいかもしれない。

最近のホンダはスポーツと言い出すと、すぐにタイプRのような体育会的な方向に走りがちなのだが、昔はそんなことはなかったはずだ。それこそワンダーシビックのように、イケメンで勉強も出来てスポーツも軽やかにこなす爽やかなヤツこそがホンダ車だったよなと思うと、新型シビックはまさに今の表現方法で、原点回帰のコンセプトをカタチにしたクルマと言っていい。誕生から50年で、ちょうど1周してここに戻ってきたわけだ。

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このシビック、販売は好調だという。登場1カ月後のデータで興味をひいたのは20代の購入比率が23.9%と世代別ではもっとも高く、そしてMT比率は35.1%とこちらも高かったことだ。こういうストレートなクルマらしい楽しさが、若い層に響いているというのは、こちらも嬉しくなる。

新型シビックにはホンダも力が入っていて、2022年にはタイプR、そして2モーターハイブリッドのe:HEVが投入されることが、すでにアナウンスされている。特に楽しみなのがe:HEV。社内の関係者が口を揃えて「コレは楽しいですよ」と耳打ちしてくるのだ。ホンダ車でそんなのは滅多にないことだから、きっと相当なんじゃないかと期待しているのである。

前回:カローラクロスが安いのに驚くほど出来が良い訳(12月24日配信)

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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