高齢になると「もりもり食べる」が実は正解の理由 やせていると「肺炎」や「骨折」のリスクが急上昇

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低体重の人はとりわけ衰弱の進行が激しく、アメリカの研究では、やせた高齢者が入院すると、死亡のリスクが4倍に上がるという報告もあります。そのため、やせた高齢者が入院すると、それっきり家に帰れなくなるケースも少なくありません。たとえなんとか帰ってこれたにしても、体力や筋力がガクンと落ちた状態での帰宅となり、そのまま寝たきりになってしまうケースが目立ちます。

おそらく、みなさんの身近にも、入院をきっかけに一気に衰えて、そのまま亡くなってしまったお年寄りがいらっしゃるのではないでしょうか。

世界の高齢者はもりもり食べている

では、骨折や肺炎を防ぎ、サルコペニアやフレイルに陥るのを防ぐため、高齢になった親にどんなことを勧めればいいのでしょうか。そのもっとも効果的な対策が「しっかり食べて体重を増やすこと」なのです。

私は15年以上、在宅医療の専門家として6000人を超える高齢の患者さんを診てきました。また、世界各国の高齢者施設を訪ねて、どのように食事や健康を管理しているのかを調べてきました。そうしたなかでたどり着いた結論が「太っているお年寄りほど健康」ということなのです。

はっきり言って、こんなにも「やせた高齢者」ばかりが目立って多いのは日本だけのようなもの。世界各地の高齢者施設を訪ねると、たいていどの国でも長生きをしている健康なお年寄りは、みんなもりもり食べてコロコロと太っています。

たとえば、中国の上海のある老人ホームでは、平均年齢85.2歳、平均BMIは24.7の元気で自立した高齢者ばかり。出されていた食事は、肉などの動物性たんぱく質が5品に、油で炒めた野菜が1品、たっぷりのごはんに汁物……。書き並べただけでかなりボリューミーであることがおわかりいただけると思いますが、このメニューをおかわりする人も少なくないそうです。日本の高齢者と比べると、食べている量にかなりの差があることがおわかりでしょう。

また、日本の高齢者の場合、やれ「脂ものの摂りすぎはよくない」とか、やれ「添加物やジャンクなものは避けたほうがい」とかと、口に入れるものを自己規制してしまっている場合が多いのですが、世界の長寿者は、そんなことあまり気にせず、自分の好きなものをもりもり食べている傾向があります。つまり、高齢になってきたら、食事で大事なのは「質よりも量」。高齢者にとっては、とにかくたくさん食べてカロリーを蓄え、体重を増やしていくほうが健康長寿につながりやすいのです。

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