高齢になると「もりもり食べる」が実は正解の理由 やせていると「肺炎」や「骨折」のリスクが急上昇

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それに、もりもり食べて、体重や筋肉量をキープしていれば、運動機能をあまり低下させずに済みます。また、筋肉がしっかり保たれていれば、転倒して骨折をするリスクも小さくなりますし、嚥下機能もキープされ、誤嚥性肺炎のリスクも小さくすることができます。

さらに、しっかり食べて体重をつけている高齢者は、仮に入院したにしてもあまり衰えることなく自宅へ帰還して、わりとスムーズに回復できるケースが多いのです。私の診てきた高齢の患者さんにも、太めの体型の人には、あれこれ病気を抱えながらも健康コンディションを良好に保って長生きをしてらっしゃる方が少なくありません。

若いときと高齢期では健康常識が「180度」変わる

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ですからみなさん、もし老齢の親の衰え加減が心配になってきたなら、とにかく「よく食べて体重を増やすこと」を勧められてみてはいかがでしょう。目指してもらうのは、BMIが標準よりも高めの「ぽっちゃり肥満体型」。人間はしっかり食べてこそ、長く健康に生きられる生き物なのです。

ただ、高齢の親にはたくさん食べて太ることを勧めても、みなさんご自身はあまりマネしないようにしてください。若い世代や中年世代など、まだ問題なく体が動く現役世代は、やはり、健康のために太りすぎないよう注意していくほうがいいのです。現役世代の方々にとっては、やはりBMI22くらいがもっとも病気になりにくいライン。

若くて元気なときと高齢になって衰えてきてからでは、健康をキープするために守るべきことが180度変わるのです。ぜひ、その点をしっかり押さえておくようにしてください。

佐々木 淳 医療法人社団 悠翔会 理事長

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ささき じゅん / Jun Sasaki

1973年京都市生まれ。1998年筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院に内科研修医として入職。消化器内科に進み、おもに肝腫瘍のラジオ波焼灼療法などに関わる。2004年東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学。大学院在学中のアルバイトで在宅医療に出会う。「人は病気が治らなくても、幸せに生きていける」という事実に衝撃を受け、在宅医療にのめり込む。2006年大学院を退学し在宅療養支援診療所を開設。2008年法人化し、現職。2021年 内閣府規制改革推進会議専門委員。 現在、首都圏ならびに沖縄県(南風原町)に全18クリニックを展開。約6000名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行なっている。

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