富士通の優勝旗紛失で問われる不祥事謝罪の流儀 間違ったら謝る、そのうえでの償いが問われる
経営コンサルタントだからこそ知っている事実のひとつに「どの大企業も取り返しがつかない事件をいくつか抱えている」ということがあります。数十万人が働くグローバル企業というのは従業員だけでひとつの大都市の人口に匹敵します。それだけの人が活動していれば必然的に取り返しがつかない事件が起きてしまうことはあるのです。
富士通が全日本実業団対抗駅伝の優勝旗を紛失したと発表して謝罪しました。長さ100×30×30cmの専用ケースが今年6月の本社のレイアウト変更の中で行方がわからなくなったのです。「すべての責任は会社にある」とし、これから歴代の優勝チームに謝罪を行うといいます。
事件発覚から謝罪までの約20日間、手をつくして探せるところはすべて探したうえでの謝罪です。おそらくは発表時には「もうどこにもない」ということは会社もわかっているのではないかと推測します。
過去65回優勝チームのペナントリボンも失われた
ニューイヤー駅伝として知られるこの大会は過去65回開催の歴史をもち、近年では毎年、全国から37の実業団チームがたすきをつなぎ優勝を目指します。歴代の優勝チームは旭化成、トヨタ自動車、コニカミノルタ、中国電力など陸上の名門チームが並びます。それらチームの名前が記されたペナントリボンが優勝旗とともに失われたという意味の重さを関係者はひしひしと感じているはずです。
富士通はこの事件に対してどのような償いをすべきでしょうか? すべての大企業の不祥事に対する償いのありかたを含め、あらためてそのことを考えてみたいと思います。
ここでいったん、富士通を離れて富士通以外の大企業の謝罪会見の話を始めたいと思います。先に強調しておけば今回の富士通の謝罪については立派な態度をとられていたと私は感じています。
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