EV普及の壁「充電」の難題を解決するスゴ技の正体 驚異の新技術により電動車の時代は必ず来る!

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それに対して「フッ化物イオン電池」の電極はビルのような構造を取っていません。

ただの塊です。そのため、リチウムイオン電池の電極に比べて重量や容積が小さくなり、エネルギー密度が高くなるのです。また、電極に使っている化合物は、金属1粒に対してフッ化物イオンが複数くっついているため反応に関わるフッ化物イオンの数が多く、効率良く電気を取り出すことができます。

しかし、放電や充電するときは一方の電極からフッ化物イオンが溶け出し、もう一方の電極へ移動し、化合物となって析出します。すなわち、充電放電により電極自体が変化してしまうため、繰り返しの充電に弱いのです。20〜30回の充電で容量が70〜75%まで低下するのだとか。ということは、電気自動車に20回充電すると1000㎞だった走行距離が700㎞にまで落ちてしまうということになります。

しかし、現在、リチウムイオン電池と同じ、電極がビルのような作りのフッ化物イオン電池の開発も進んでおり「エネルギー密度が高く、繰り返しの充電にも強いフッ化物イオン電池」がみなさんの前に登場する日がくるかもしれません。楽しみですよね。

走行中の自動車にワイヤレスで充電⁉

電気自動車の「充電」を解決する研究は他にもあります。それは「走行中ワイヤレス給電」です。ワイヤレス給電といえば、スマホや電動歯ブラシなど、生活のなかにも浸透してきましたよね。ただ、ここでご紹介するのは止まった状態でワイヤレス給電するのではなく、「走行中の自動車」にワイヤレスで給電する技術です。聞いただけでもワクワクしませんか?

走行中ワイヤレス給電は、海外では街中や高速道路での実証実験がすでにおこなわれており、日本は一歩遅れを取っていますが、技術の面では負けていません! 東京大学教授の藤本博志博士らの研究チームにより、電気自動車の駆動装置と走行中ワイヤレス給電の受電回路のすべてをホイール内の空間に収納した「インホイールモータ」が世界で初めて開発されました。

駆動装置をホイールに収納することで、タイヤごとの制御が可能になり、雪道でのスリップなどを防ぐことが可能になります。これだけでもすごいですが、さらにワイヤレスで給電するというのだから驚きですよね。

この技術の最大のメリットは「電気自動車に搭載する電池が減ること」。少しでも走行距離を長くするには、たくさんの電池を搭載すれば良いのですが、現在、電気自動車に利用されているリチウムイオン電池は「ガソリンに比べると重い」「コストがかかる」「電池を作るための資源」「電池を作るときに排出される二酸化炭素」などの課題があり、搭載量は少ないほど良いのです。

次ページどこで走行中ワイヤレス給電が行われる?
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