射幸心を煽り「20歳に死を選ばせた」株アプリの罪 「ゲーム化」はビッグテックの次なる支配戦略

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
射幸心をあおる「ゲーム化」という新しい手法が、1人の若者を自殺に追い込んでしまった(画像はイメージ、画像:asaya / PIXTA)
GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。
その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』がついに日本でも刊行された。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAとこの4社に匹敵する権威を持つようになる「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。
いまやあらゆるビジネスが「GAFA+X」に直接、脅かされる時代に突入した。本書はすべてのビジネスパーソンに、明日の「生存戦略」を考えるヒントを提示している。
ここでは本書を再編集し、ビッグテックが我々を搾取する最新手法、「ゲーム化」について解説する。

「ゲーム化」で若者を駆り立てるビッグテックの罪

GAFAをはじめとしたビッグテックは、私たちの生活の面倒をなくすことで巨大化した。

『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』は、発売3日で6万部のベストセラーになっている(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

それは手始めにすぎない。次に来るのは人為的な動機づけ、すなわち「ゲーム化」である。

ゲーム化はデジタルの麻薬だ。最近ではオンラインの株取引プラットフォームがこの麻薬を導入した。株取引のプラットフォームの果てしなきスクロールとはどのようなものだろうか。ロビンフッドのアプリをダウンロードしてみよう(もちろん読者の自己責任で)。

・取引をすると紙吹雪が舞う
・カラフルでポップなインターフェース
・1日1000回タップすると、ロビンフッドの目玉商品(基本的にはアプリ内の高金利の口座)の順番待ちリストの順位が上がる

これで若者がやられてしまう。歯止めがきかなくなってしまい、10代のうつ病と社会的混乱が急増している。

われわれは戦闘機に乗り、毎日スピードを上げ続けている状況だ。音速の壁に近づくまで胴体がばらばらにならないよう願うしかない。

たとえば、『ザ・シンプソンズ』(訳注=アメリカのテレビアニメシリーズ、アメリカでは史上最長寿番組)のシーズン31の配信、実物そっくりのビデオゲーム、どこでも見られる過激になる一方のポルノ、あなたの15歳になる娘が招待されなかったパーティーの高解像度のライブ配信、真実ではなく暴力を煽るソーシャル・メディアのアルゴリズム、オプション取引の無審査承認。

次ページ8300万円を失ったと思い込み、自殺した青年
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事