日本発「木から作るクルマ」が夢物語ではない理由

セルロースナノファイバー(CNF)に集まる期待

木材チップが自動車のボディに?(左画像:環境省ホームページ、右写真:花火/PIXTA)
なかなかとっつきにくい科学や科学系のニュース。最先端の研究に関する情報はニュース番組でも軽く流される程度。きちんと解説がつくのはノーベル賞を受賞したときくらいのものです。
そんな難しい化学の話を大手予備校で化学を担当する人気講師がかみ砕いて伝えている『「家飲みビール」はなぜ美味しくなったのか? - コテコテ文系も学べる日本発の『最先端技術』』より一部抜粋、再構成してお届けします。
前回:皮膚に粘着剤なしで貼れる超薄膜がやたら凄い訳(12月13日配信)

木の国ニッポン

『廃プラ利用、35年までに100% リサイクル・燃料化促進』
(2021/2/23日経新聞)
政府は材料や資源など素材産業の国際競争力を高める戦略をつくる。使用済みプラスチックの再利用を現状の80%程度から2035年までに100%に引き上げる目標を掲げる。廃プラのリサイクルを前提とした素材開発を促す企業向け指針を示すほか、燃料化の技術開発などを後押しする。

□セルロースナノファイバー(CNF)は日本発の革新的な素材

□CNFは重さが鉄の5分の1、強度が鉄の5倍という驚異の素材

□チクソ性、消臭効果、食べても人体に無害……。用途は多彩で調達も容易


2019年、東京モーターショー。敷き詰められた木屑の上に展示されているのは、今にも走り出しそうなスーパーカー。人だかりができているのは、この車の外見のカッコよさだけではありません。

なんと、このスーパーカー。従来のものに比べ、約10%軽量化、燃費は約10%向上。そのぶん二酸化炭素(CO2)の排出を削減できるため、地球温暖化対策に大きく貢献できる車なのです。それだけではありません。素材は植物(木材)由来でリサイクルが可能。塗装を綺麗に剥がすことができれば、リサイクル時の劣化もありません。

「木でできた車なんて、危なくないの?」と、不安に感じたかたもいらっしゃるでしょう。その通りですよね。自動車は、見た目や燃費の良さだけではなく、事故の衝撃に耐え、中の人を守る強さを持ち合わせていなければなりません。果たしてそれが「木」で可能なのか。その答えを「イエス」にしたのが「木の国ニッポン」発の革新的な素材、「セルロースナノファイバー」なのです。

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