「老後2000万円あれば安心」信じる人の意外な盲点 「人と人の繋がり」見れば経済の本質がつかめる

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昔のように近くの親戚や地域社会に見守られながら、安心して子育てができる環境ではありません。子育ての負担は親の肩にずしりとのしかかっています。

さらには、こんな話もよく聞きます。「年金保険料を確保するためには、GDPを増やさなければいけない。そのためには女性の労働参加率を高める必要がある」という話です。

もちろん、女性が社会で働ける選択肢を増やすことは重要です。しかし、家の中で育児をしている女性がまるで労働に参加していないような物言いはどうかと思ってしまいます。

国全体のイス取りゲームを続けないためには、社会全体で協力して子育ての支援をしたり、子育てしやすい環境を作ることが不可欠です。また、少人数でも生産力が維持できるように、生産効率を上げることも必要です。

「人と人の繋がり」は経済の本質をあぶり出す

経済の話は難しい専門用語とともにお金を中心に語られることが多くあります。そうして語られる経済は難しくて冷たいものです。

ですが、ここまで話してきたように、人を中心に経済を語ると、経済は優しく易しいものに変わります。そして、その本質が見えてきます。

『お金のむこうに人がいる』というタイトルの本を書きましたが、道徳の話をしたいわけではありません。そもそも、資本主義ど真ん中の世界で働いていた僕が道徳を語る資格はありませんから。

『お金のむこうに人がいる』(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

お金とはいったい何なのか。

政府の借金は大丈夫なのか。

投資は何のためにするのか。

どうすれば安心した老後を暮らせるのか。

これらを考えるとき、お金によって人と人がどのように繋がっているかという視点を取り入れるだけで、経済の見え方はガラッと変わり、その本質が見えてきます。

資本主義経済は限界に来ているという話はよく聞きますが、資本主義を問い直すだけでなく、人を中心に経済を考え直すときが来ているのではないでしょうか。

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。

著書に「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞した『きみのお金は誰のため』のほか、『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)などがある。

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