デジタル画像が数億円!「NFTバブル」本当の正体 投資目的ばかり考える人に欠けた重要な視点

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一方、伸び幅がいまいちなのはマーケットプレイスを利用するアクティブウォレット数です。アクティブウォレット数はNFTを売買する市場参加者数を反映した指標ですが、場合によっては直近でも年始頃と大きく変わらない週もあります。

これらの数字からわかるのは「平均単価の高騰に牽引され、販売総額は伸び続けているが、売買市場への参加者はこの成長に追いついていない」という現在のNFT取引市場の実態です。

これに対し、「純粋なNFT保有者数」は順調に伸び続けています。1日あたりのアクティブユーザー数が200万人を超える「アクシー・インフィニティ」などの大型NFTゲームが登場したことで、NFTを保有し利用しているユーザーの数は飛躍的に増加しました。

つまり現在、NFTは売買するだけのコレクションから、ゲームやサービスなどに紐付く用途を持った商品へシフトする過渡期にあり、前者と後者の文脈が混在してしまっているのです。 

NFTが持っている2つの価値

この混乱を避けるためには、NFTの「所有価値」と「利用価値」について理解する必要があります。

NFTの所有価値とは「単に持っているだけでうれしい」という満足感と、「持っていれば売却益を得られるかもしれない」という値上がり期待、つまりコレクションとしての価値です。

一方の利用価値は、NFTを起点に他のサービスや体験、権利にアクセスすることを通じて得られる効用を指します。

そもそもNFTには、イラストや音源など表現部分の複製行為を防止するコピープロテクト機能がありませんから、表現部分は所有者でなくとも楽しむことができます。

さらに、所有しているという状態も、あくまでブロックチェーン上の記録にすぎません。いわば貸し金庫の中に絵画を保管したような状態です。

そのため、NFTの本来的な価値は視聴や所有の先にある「NFTだけに紐付いた用途」や「正当な保有者だけが得られる体験」を中心として語られるべきです。

現在のところ、NFT自体に物珍しさがあるがゆえにコレクションすること(そして、そのコレクションが値上がりすること)に重きが置かれすぎていますが、何らかの用途や体験と紐付かない限りは中長期的に価値を保っていくことは難しいのではないかと思います。

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