日産工場操業停止の教訓、半導体の調達難で玉突き
効率化優先の代償なのか。7月14日から19日にかけ、国内外6工場で3日間の操業停止に追い込まれた日産自動車。日立製作所が調達しているエンジンの燃料噴射を制御するユニット(ECU)が計画どおり納入されなかったことが原因だ。
日立はECUの主要部品であるカスタムICを、欧州の半導体大手STマイクロエレクトロニクスから購入していた。が、7月2日にST社から、「7月の契約分12万個のうち10万個しか納入できない」と連絡が入った。
急きょ日立の自動車事業の幹部がST社に飛んだが、納得がいく説明はなし。7日に連絡を受けた日産も突然の事態に対応できず、「自動車メーカーにとって大きな決断」(志賀俊之・日産COO)の生産ライン停止に至った。
真相は明かされず
日産の操業は20日以降正常化している。当該ECUを搭載した車種とそうでない車種が混じり合った生産ラインの調整なども行っており、この先もライン停止は避けられそうだ。しかし、ST社製カスタムICは「8月半ば以降の半導体調達を交渉中」(日立)であり、日立製ECU調達への不安は解消されていない。
不透明感を強めるのはST社側の対応だ。メディアに「コメントできない」を貫くのみならず、日立に対しても原因を開示していない。このため、「半導体市況の急回復で需給が逼迫したため、日立向けを後回しにしたのでは」など、憶測が流れる。