オミクロン株には「追加接種」がはたして正解か 追加接種に前のめりな先進国と途上国の攻防

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ガウンダー氏をはじめとする専門家はこれまで、追加接種は65歳以上の高齢者や長期ケア施設の入居者、免疫の弱い人以外には勧められないという立場をとってきた。デルタ株によってワクチンの感染予防効果に低下はみられるものの、重症化や入院、死亡はほぼ防げているという理由からだ。

脅威がデルタ株だけだったとしたら、追加接種を行わなければならない根拠は見当たらないとガウンダー氏らは語る。だが、オミクロン株はそれよりももっと手ごわい可能性がある。

「まだ立証されているわけではないが、オミクロン株は抗体に対し高い耐性を持っていると考えられる。そうだとしたら、追加接種を行うのが適切だ」と、ニューヨークのワイル・コーネル医科大学のウイルス学者ジョン・ムーア氏は話す。

「もっと多くのデータを見たうえで判断したいところだが、(追加接種で)抵抗力を高めても誰かに害が出るわけではない」

「考えが変わった」

オミクロン株が登場する前でさえ、専門家の一部は考えを修正し、全成人を対象にした追加接種を支持するようになっていた。アメリカの感染者数がここに来て増加傾向となったためだ。

マサチューセッツ総合病院の感染症専門家でCDCの顧問も務めるカミール・コットン氏は、感染増加により「マサチューセッツ州だけでなく、ほかの地域の複数の病院でも、緊急でない手術や治療に悪影響が出ている」と言う。「私たちは、こうした状況に本当に終止符を打たなくてはならない」。

「未接種者が接種を受けたり、接種者が追加接種を受けたりする必要性はこれまで以上に高まっている」

コットン氏が当初、追加接種に不安を感じていたのは、1つには若年層の安全性に関するデータが不足していたためだ。mRNA(メッセンジャーRNA)タイプのワクチンの2回目接種後に若い男性がまれに心筋炎などを発症することを考慮すると、追加接種のメリットがリスクを上回るのかどうかは定かでなかった。

しかし、新たに入手可能になったデータによってコットン氏の懸念は和らいだ。10代後半〜20代前半の自身の息子に追加接種を促すほどに、だ。「ええ、考えが変わったんです。リスクとメリットを考えると、条件を満たした人が追加接種を受けるのは本当によいことだと思う」とコットン氏。

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