トー横キッズが共感し合える関係を築き上げる訳 少年少女たちのリアルに開沼博が迫る【後編】

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開沼:なるほど。だんだんトー横界隈に集う子たちの雰囲気が見えてきたけど、R君から見て、「トー横界隈」とか「トー横民」現象って、どういうことかと思いますか。

R君:ツイッターの「#(ハッシュタグ)」のひとつなんですけど、これ見てください。

開沼:「#病み垢さんと繋がりたい」?これは何? 1時間に何10本とツイートがありますね。

R君:「#メンヘラ女子」とか「#自撮り界隈」とかいろんなパターンはあるんですけど、基本メンヘラの中高生たちが、似たような仲間と絡みたいと思って、集まってくる場所ですね。

開沼:なるほど。消失願望とか共依存とか、精神障害とかいろんな負のワードが飛び交っているけど、つまりこのSNSに集う膨大な人たちが、リアルな「トー横界隈」の原型であると。

共感し合って、ある意味、慰め合う場

R君:ぼくはそう考えてます。家庭に問題を抱えている子も多いですけど、そのせいでメンタル壊したというよりも、もともとメンヘラ体質で、家庭と学校での生活になじめないしつらい。そんな子たちがお互いに「わかるよ、わかるよ」と共感し合って、ある意味、慰め合う場だと思うんですよ。

開沼:ここはとても重要なポイントだと思います。アルコールや薬物依存の人たちやメンタルを病んでいる人が自発的に集まり、自らの苦しさやつらさを吐露し合うことで徐々に症状を改善させていく方法がありますが、それに近いものを感じます。つまり、専門家が上から介入するのではなく、自分たち同士で解決を目指すグループを作るわけですね。

R君:まさにそれかなと思います。自分たちでは意識してないけど、自然にそういうことをやっているんだと。

開沼:コロナ禍で余計に家や学校にいることがつらくなった子たちが、「トー横」という場に集った。そこはいわば「セルフヘルプグループ」のような機能を果たしていると。

R君:さすが東大の先生ですね(笑)。ぼくが言いたかったのはそれです。

開沼:たしかに界隈には売春をはじめ、多くの事件や事故、違法行為が起きているのも事実だけど、メンタルを病み、家庭に問題を抱えているような「生きづらさ」を感じている子たちの相互扶助の場としての側面もあるというわけですね。

R君:はい。今後、コロナが収束に向かうにつれ、多くの一般の人々が街に戻ってくると思います。そうなると界隈自体はいつくか街から排除される運命だとは思うけど、そうなればまた別の場所に新たな「界隈」が生まれるだけだと思います。

前編:トー横キッズが歌舞伎町に居場所求める本当の訳(12月9日配信)

開沼博(かいぬま・ひろし)/東京大学大学院准教授・社会学者。1984年生まれ。東京大学卒。同大学院博士課程単位取得。立命館大学准教授などを経て、2021年東京大学大学院情報学環准教授。近著に『日本の盲点』(PHP研究所)。「漂白される社会=日本」をテーマにフィールドワークを続け、現代日本の闇を追い続ける(筆者撮影)
根本 直樹 ライター

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ねもと・なおき  / Naoki Nemoto

1967年生まれ。立教大学文学部仏文科中退。その後『週刊宝石』記者を経てフリーに。主に暴力団や半グレなどアンダーグラウンド分野の取材・執筆活動を続けている。

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