トー横キッズが共感し合える関係を築き上げる訳 少年少女たちのリアルに開沼博が迫る【後編】
開沼:フリーライド(利益は享受するが、そのために必要な費用は出さないこと)を許す、何とも寛容すぎる世界はとても興味深いです。で、日銭の入った女の子が部屋を取ると言ったけど、何をして稼いでるんですか。
R君:あくまで体感ですけど、女の子の5〜6割は「案件」で稼いでいますね。それ以外の子は地元に戻って普通にファストフード店とかでバイトして、給料が入ったら家出して、1週間くらいいるみたいな感じです。
開沼:案件とは?
R君:パパ活、要するに売春ですね。
開沼:未成年女子による売春は昔からある現象だけど、メンタルを病んでいると自覚している界隈の女子たちにも蔓延しているんですね。どうやって相手を見つけているんでしょうか。気になります。
R君:ネットを使っていますね。
開沼:街で直接声をかけたり、かけられたりというのは?
必要以上に金を稼ごうと思わない
R君:それをやっちゃうと暴力団とか半グレ(暴力団に所属せずに犯罪を行う集団)とか、街の大人たちが黙ってないじゃないですか。「俺たちの下に入って商売しろ」とか管理されちゃう危険性もあるし。街で彼女たちに「いくら?」と近寄ってくる男はいるんですが、絶対に断ります。しつこい男の場合、ぼくたち男が排除しますね。やっぱりこのコミュニティを保ちたいし、誰にも邪魔されたくないので。
開沼:かつての「援助交際」は消費社会の成熟の中で生まれていった。
街を舞台に既存の社会の規範・文脈から逃れ、逸脱していこうとする
メンタリティがあったと言われている。では、トー横界隈の未成年女子たちが売春をする目的は何だと思いますか。
R君:界隈でのちっぽけだけど、平和で心安らぐ暮らしを守りたいから。それだけだと思います。だから、毎日案件をしまくるみたいな子はいない。週に1、2回客を取って、1週間分のホテル代と食費が稼げれば、あとは界隈にたまって、コンビニご飯食べて、酒を飲み、お金のない子には分け与えてどうでもいい話をして過ごす。必要以上に金を稼ごうと思わないのは男女ともに一緒ですね。
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